2021.10.11
, EurekAlert より:
サプリメントによるn-3系脂肪酸の摂取量が1日1g以上の人は、それ以下の人に比べて心房細動を発症するリスクが増大することが明らかに。n-3系脂肪酸の最善の摂取法は週に数回、魚を食べることだとしている。米・シュミット心臓研究所による研究。
心房細動は最も一般的な種類の不整脈であり、心房の壁が正常に収縮せず細かく震えたような状態(細動)になるもの。世界中で推定3,300万人が罹患しているとされ、血栓、脳卒中、心不全、その他の心臓関連の合併症を引き起こす可能性がある。
2012年の米国全国健康面談調査(NHIS)によると、米国の成人の7.8%、約1,900万人が魚油サプリメントを摂取していると推定されている。
しかしn-3系脂肪酸について、サプリメントによる摂取が心房細動を発症するリスクを高めるとする研究例と、それに反する研究例が混在しているため、今回、シュミット研究所のアルバート教授らは複数の研究例を統合して解析することとした。
7つの研究とその参加者81,000以上のデータを精査した結果、心房細動を発症するリスクはn-3脂肪酸の摂取量に依存することが示唆された。心房細動発症率は、サプリメントから摂取したn-3系脂肪酸が1g/日以下の人の心房細動発症率(12%)に比べ、1g/日以上の人では49%増加していたという。
n-3系脂肪酸は血中の中性脂肪と関節炎の痛みを大幅に軽減できるという強力なエビデンスがあるが、ほとんどの専門家は「週に数回魚を食べることでn-3系脂肪酸を摂取することが最善」との意見で一致している。
アルバート教授は、医師が高用量のn-3系サプリメントを処方する場合には、まず患者と心房細動の発症リスクについて話し合うべきとし、「心房細動を発症するリスクは、1日に1g以下の魚油を摂取している方においては比較的小さいようです。1日に1g以上の魚油摂取は、医師に勧められた場合にのみ行うべきです」などと述べている。
出典は『循環器』。 (論文要旨)
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