2021.7.9
, EurekAlert より:
脂肪の多い魚の豊富な食事は、野菜ベースの脂肪が豊富な食事に比べて、頻繁な片頭痛に苦しむ患者の頭痛の回数や痛みの強さを減らすようだ、という研究報告。米国国立老化研究所などによる研究報告。
研究チームは、リノール酸と慢性疼痛の影響に関する以前の研究を拡張した。リノール酸は、米国の食生活でコーン油、大豆油、その他同様の油、およびいくつかのナッツや種子から一般的に得られる多価不飽和脂肪酸である。
以前の小規模な研究で研究チームは、リノール酸が、体の12の脳神経の中で最大かつ最も複雑な三叉神経の片頭痛関連の疼痛処理組織および経路に炎症を起こすかどうかを調査した結果、リノール酸が少なく、(魚介類に見られる)オメガ-3系脂肪酸のレベルが高い食事が、この痛みの経路の炎症を和らげることができることを発見したという。
今回の研究では、頻繁に片頭痛を患う成人182名を対象に、16週間の食事介入を実施した。参加者は3つの健康的な食事計画の1つにランダムに割り当てられた。
参加者全員に、魚、野菜、フムス、サラダ、朝食アイテムを含む食事キットが贈られた。1番目のグループは、脂肪の多い魚または脂肪の多い魚からの油を多く含み、リノール酸を低下させた食事を受け取った。2番目のグループは、脂肪の多い魚とリノール酸を多く含む食事を受け取った。3番目のグループは、米国人の平均摂取量を模倣した、リノール酸が多く脂肪の多い魚が少ない食事を受け取った。
研究開始時には、参加者は平均して月に16日以上の頭痛、1日あたり5時間以上の片頭痛があり、複数の頭痛薬を使用したにもかかわらず生活の質に深刻な影響が及んでいた。
介入の結果、植物油が少なく、脂肪の多い魚が多い食事は、対照群と比較して、1日あたりの総頭痛時間、1日あたりの重度の頭痛時間、および1か月あたりの全体的な頭痛日数を30%から40%減少させた。このグループの参加者からの血液検査も、痛みに関連する脂質のレベルが低かったという。頭痛の頻度と痛みの減少にもかかわらず、この参加者は、片頭痛に関連する全体的な生活の質は、他のグループと比較して、わずかな改善が報告されただけだった。
「食事の変更は、片頭痛の痛みに苦しむ何百万人もの米国人にいくらかの救済を提供するかもしれない」と筆頭著者のクリス・ラムズデン医師は語っている。「それは、我々が食べる物が痛みの経路に影響を与える可能性があることの、さらなる証拠である。」
出典は『英国医学雑誌(BMJ)』。 (論文要旨)
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