2020.6.11
, EurekAlert より:
世界のどこでも女性は同年代の男性に比べて、心血管系疾患の発症リスクとそれによる死亡リスクが共に低いようだ、という世界27カ国16万人以上の男女を対象にしたスウェーデン・ヨーテボリ大学の研究。『ランセット』誌に発表された。
研究チームは、前向き都市農村疫学研究(PURE)に参加した世界27カ国の都市部と農村部の35-70歳の168,490人の男女のデータを解析した。参加者は平均9.5年間追跡調査された。
解析の結果、女性は、2種類の異なるリスクスコア(INTERHEARTとフラミンガム)を用いた場合、心血管系疾患のリスク因子が低い傾向にあった。心血管疾患の年間千人当たりの罹患数は女性が4.1で男性が6.4であり、調整ハザード比は0.75だった。全死因による死亡リスクの調整ハザード比は0.62でやはり女性が低かった。
女性は再発リスクも低く(20.0対27.7/千人/年)、調整ハザード比は0.73だった。
心血管系疾患の女性患者は男性に比べて集中治療を受けていないことがしばしば懸念されるが、研究チームによればそれは差別の問題ではなさそうだという。
「我々の解釈では、それは女性差別ではない。むしろ、女性は冠動脈の顕著な変化が少ないので、それほど集中治療が必要ないのだろう」と共同研究者で医師のアニカ・ローゼングレン教授は語っている。
出典は『ランセット』。 (論文要旨)
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