東北医工連携事業

独立行政法人 医薬基盤研究所(NIBIO)

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通信機能を備えた充電式nCPAP(持続気道陽圧治療)装置および補助口腔内装置の開発

岩手県

事業責任者

岩手医科大学 睡眠医療学科 教授 櫻井 滋

開発及び医師主導治験の概要

(1)実用化予定の医療機器・医療材料・体外診断薬の概要

停電時や通常以外の就寝場所でも使用できるバッテリー内蔵nCPAP装置の開発と、通院が不可能な状況でもインターネットへの無線接続によるデータ通信機能を介して、医療担当者による療養状況の把握が可能な機構を開発する。これらは東日本大震災時の被災地において、被災者および支援者双方にみられた睡眠時無呼吸症候群患者の治療困難な状況から生まれたニーズである。

(2)事業着手時点の開発概況

現時点では、別体の可搬式バッテリーを試作し既存の小型治療機器を接続して、使用性の検証を行っている。今後は、長時間使用できるバッテリーの容量、仕様を検討し、省電力性を考慮した装置と組み合わせた一体的な機器として開発を行う。また、通信機能(Blue tooth送信器)を予め内蔵するデータカードを用いる事で、療養情報を医師や患者が外部端末に誘導して、治療効果の評価や、以後の治療計画に活用することを目指す。また、低電力消費を実現する際には機器が供給する圧力の低減が必要なので、口腔内装置との併用効果を矯正歯科と共同で検証をする。

(3)医師主導治験に付随して実施する研究開発・前臨床試験の実施計画

  1. ① 省電力動作アルゴリズム検証のためのCPAP装置の開発と試作(株式会社 メトラン)
    各要素の開発は並行して行なう必要があるが、初年度(24年度)は「開発すべき機器の構想を確定する段階」であり、現行CPAP機器に別体の試作外部電源装置を接続し、動作アルゴリズムの初期設定や治療効果の検証を行う。そのため、アルゴリズムの変更が可能な試作機と外部電源装置の試作をメトラン社に委託するとともに、試作機による基礎的検証を行う。
  2. ② 充電可能な電池内蔵で通信機能を備えたCPAP装置の開発(株式会社 小池メディカル)
    既存の経鼻的持続気道陽圧装置(nCPAP)を可搬性に富む形状(ブック型)にすると同時に、電源が得られない環境(屋外や旅先)及び緊急時におても治療が継続できるよう内部電源(電池)及び充電機能を付加する。また、交流電源喪失時には事前に医師が処方する省電力アルゴリズムへの任意の切り替えが可能なシステムとし、医師が療養状況データを客観的に把握できるよう無線による近距離通信機能を付加する。
  3. ③ 治療圧低減用口腔内装置の作成(岩手医科大学歯科医療センター 矯正歯科)
    ①アルゴリズム、②充電池、③省電力機器開発に加え、治療圧自体を低減する手段として口腔内装置の併用を試みる。そのため、単独での治療を目的とする発想ではなく、CPAPの必要治療圧を低減し電力を節約する補助器具という視点から新たな発想の口腔内装置を開発する。

(4)医師主導治験の実施計画

平成25年度より少数の臨床例で検証を行い、平成27年度に必要があれば治験を実施する予定である。

平成24~27年度の実施計画

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