東北医工連携事業

独立行政法人 医薬基盤研究所(NIBIO)

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Online HDFを基盤とした急性肝不全用の一体型個人用人工肝補助装置の開発

岩手県

事業責任者

岩手医科大学 内科学講座消化器・肝臓内科分野 特任教授 滝川 康裕

開発及び医師主導治験の概要

(1)実用化予定の医療機器・医療材料・体外診断薬の概要

現在、急性肝不全(ALF)の治療ではon-line 血液濾過透析(HDF)を用いた人工肝補助療法(ALS)が最も有効と考えられている。On-line HDFは現在、水質管理の問題から、中央配管設備を備えた専門の透析室でのみ可能であるため、散発的に発生し、しかも、集中治療室のベッドサイドでの治療が必要なALFには対応しにくい。そこで、ディスポーザブル主体の治療水精製システムを内蔵化し、かつ移動可能な個人用ALF専用濾過透析装置の開発・臨床試験を行う。

(2)事業着手時点の開発概況

厚生労働省科学研究費補助金 難治性疾患克服事業「難治性の肝・胆道疾患の調査研究」班では、2011年度から劇症肝炎分科会にワーキンググループ(WG)を設置し、online-HDFシステムを中心とした血液浄化療法の有効性評価を開始した。このWGに所属する3施設で、online-HDFシステムを既存の腎不全用透析機器の組み合わせで行っている。同WGのメンバーでもある本プロジェクトの研究担当者(岩手医科大学 滝川康裕)は、これらのシステムを一体化・専用化した機器開発を行い、施設設備に依存しない多施設での臨床応用へと取り組む。さらに、同WGを中心に臨床評価を行い、日本の標準的な治療法の確立を目指す。

機器開発の構想
機器開発のロードマップ

(3)医師主導治験に付随して実施する研究開発・前臨床試験の実施計画

高流量・高容量(HV)HDF機器の設計,試作および水質検査(平成24-26年度)

  1. 1) 開発計画のPMDA相談(岩手医科大学)
  2. 2) 小型で高流量に耐えるRO精製装置の設計・試作(協力企業に委託)
    既存の持続緩徐式血液濾過透析装置に連結・搭載可能な大きさのRO装置。
    逆浸透膜フィルターおよびポンプ、エンドトキシン捕捉フィルター(ETRF)2本。
    精製液量 毎分 200 – 300 ml、通過水の排水装置、10日間持続使用。
  3. 3) 既存の透析装置(MDS101)の持続緩徐式血液濾過透析装置への改変・試作(協力企業に委託)
    透析液流量+補液が100-200mL/minで、24時間連続使用に耐えるよう構造を改良し、制御系を調整する。
    RO水を用い、閉鎖回路で透析液を調整。
    既存透析液との無菌的な連結が可能なように、透析液製造会社と調整。
    既存の微粒子除去フィルターを用いて、精製透析液を再度濾過。
  4. 4) 水質検査および耐性の検査(外注予定)
    上記試作器および回路の連結を行い、疑似体液を用いてヒト体液を仮定した滅菌液体36Lを満たした閉鎖容器を用いる。
    血流量 150 ml/min、透析液100 ml/min、置換液 100 ml/ml のOn-line HDFを24時間施行。検査項目:透析液および置換液の水質試験

(4)医師主導治験の実施計画

平成27年度から、作成した個人用透析機を岩手医科大学及び協力施設で臨床試験を行い、安全性・有効性を評価する。

平成24~27年度の実施計画

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