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健康的な生活を根付かせるための栄養教育の展開


【はじめに】

 我が国において現在大きな問題となっているメタボリックシンドローム等の生活習慣病の要因として、遺伝的素因と環境因子である生活習慣(食生活や運動習慣)が挙げられます。

 栄養教育プログラムにある生活習慣病予防プロジェクトは、生活習慣病と遺伝的素因や生活習慣との関連性を明らかにするとともに、これら知見に基づいて健康的な生活に変容するための効果的な栄養教育法について研究を行っています。


【行動科学理論に基づいた肥満克服プログラムの評価】

 2006年7月から、長野県S市の総合病院と共同で、人間ドック受診者で肥満者の方(235名)を対象に減量プログラムを実施しています。参加者の遺伝子多型、性格、食生活、運動習慣、内臓脂肪面積、身体計測指標、生体指標等についての調査を行い、行動科学理論に基づいた1年間の食生活と運動習慣の改善のための介入を実施しています。栄養教育は、参加者自身が問題を把握し、行動を変容させるための行動目標を設定するように行動変容理論に基づきながらサポートします。日々の記録は、体重、歩数、食事(簡易)の記録のほか、設定した目標に対する自己評価を記録するセルフモニタリングです。毎日の記録を行いながら1か月の終わりには目標等の見直しを行い、1年間の減量に取り組みます。その結果、介入群においては男性で平均5kg減少し、女性は平均4kg減少しました。体重の減少に伴って、最高血圧や、最低血圧、腹囲、内臓脂肪も減少していました。

 また、参加者の肥満関連遺伝子の多型について解析した結果、グレリンの遺伝子多型と糖尿病や血清脂質等についての関連性が認められました。


【行動科学的なアプローチの展開】

 減量の成功と不成功の要因について検討すると、男性の減量成功者は、食行動の「空腹や満腹感覚」が是正されていたのに対し、女性では、食事の「食べ方」が是正されていました。このように、男性と女性とでは、減量につながる食行動の変容の方向性が異なり、一律的な栄養指導では減量に導けないことが明らかになりました。また、減量成功者の方が、周りからのサポートがあり、毎日の目標を達成することに対してのストレスも感じていませんでした。より良い食習慣(行動)を確立するためには、毎日の実践が必要となります。そのためには、個人の行動ステージレベルや、遺伝的素因にあったアプローチをしながら、ストレスにならない程度の目標を設定し、周りからのサポートが得られるようにすることが、継続的な目標達成を容易にし、最終目標である減量を成功させる要因であると思われます。【栄養教育プログラム/生活習慣病予防プロジェクト】



関連研究論文

1) Aiba, N, Morita A, Suda N, Taguchi H, Miyachi T, Sasaki S ,Watanabe S. Nutritional Education and Exercise Treatment Basedon Cognitive Behavioral Treatment inthe
Saku Control Obesity Program (SCOP). Anti-Aging Med.; 5(2): p39-p45, 2008

2) Takezawa J, Kouichi Yamada, Morita A, Aiba A, Watanabe S. Preproghrelin Gene Polymorphisms in Obese Japanese: Association with Diabetes Mellitus in Men and with Metabolic Syndrome Parameters in Women. Obesity Research and Clinical Practice (in print)

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第8巻2号(通巻29号)平成21年9月15日発行から転載
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作成:2009/9/28 16:37:09 自動登録   更新:2009/9/28 16:44:32 自動登録   閲覧数:4219
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