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睡眠時代謝量および基礎代謝量の個人差

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〈睡眠時代謝量とは? 基礎代謝量とは?〉
 空腹時に安静仰臥位で測定する基礎代謝量は、総エネルギー消費量のうち、最も大きな構成成分です。一方、睡眠時代謝量は、睡眠時間全部あるいは一部におけるエネルギー消費量です。

 基礎代謝量は、覚醒時に食後の代謝亢進の影響がないように測定しますが、睡眠時代謝量は、睡眠に入ってしばらくは食事の影響を若干受ける可能性があります。しかし、これらの点を除くと似た条件での測定となり、値も近くなります。


〈目的と方法〉 
 本研究では、8時間の睡眠時間全体における平均の睡眠時代謝量と、その中でも特に代謝の低くなっている、連続する3時間における平均の睡眠時代謝量を、ヒューマンカロリメーターで測定し、性・年齢・身長・体重あるいは身体組成から推定する式を作成し、これらで説明できない誤差を個人差と考えて評価しました。

 ヒューマンカロリメーター(写真)は、室内で生活中のエネルギー消費量を、マスク等を装着しない自然な状態で正確に測ることができるもので、当研究所の場合、誤差はわずか1%程度です。基礎代謝量もあわせて測定しました。対象は、これらの測定値が全て得られた、成人男女137名でした。


〈結果と考察〉 
 睡眠時代謝量(8時間)/基礎代謝量の比率は平均1.01、睡眠時代謝量(3時間)/基礎代謝量は0.94でした。また、除脂肪量だけでも、睡眠時代謝量や基礎代謝量を推定できましたが、体重に身長・性・年齢を加えれば、それと同程度の誤差で推定が可能でした。

 特筆すべき点は、推定の誤差です。一般に、基礎代謝量の推定誤差(推定の標準誤差)はおよそ±8?13%程度(100?180kcal/日程度)とされています。しかし、今回の睡眠時代謝量の推定の標準誤差はおよそ80kcal/日かそれ以下となりました。これは、睡眠時代謝量の約6%程度に相当し、過去の報告、あるいは今回の基礎代謝量の推定誤差と比べても小さい値です。

 そのような結果が得られた原因として、1)ヒューマンカロリメーターが正確なこと、2)代謝が変化しやすい“起床直後”に短時間で測定する基礎代謝量と比べ、睡眠時は安定した状態が得られやすいこと、が考えられます。


〈結論〉 
 一定の安静状態におけるエネルギー消費量の個人差の一部は、測定誤差や条件のブレによってもたらされてきたものであり、真の個人差は、これまで考えられていたほどは大きくないのではないかと考えられます。

 今回の結果によると、睡眠時代謝量の推定値は真値と比べ、95%の確率で±150kcal/日の幅に収まることになります。【田中茂穂】



出典:Ganpule AA, Tanaka S, Ishikawa-Takata K, Tabata I. Interindividual variability in metabolic rates in Japanese subjects. Eur J Clin Nutr Epub ahead of print, 2007. 2. 7.

注)Ganpule氏が当研究所の「国際栄養協力若手外国人研究者」として在籍中に、本研究のデータの分析等を行った。

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第6巻1号(通巻20号)平成19年6月15日発行から転載

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作成:2008/6/16 10:23:22 自動登録   更新:2009/2/3 10:25:45 自動登録   閲覧数:30561
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