タンパク質上の糖鎖合成はゴルジ体のどこで行われる?最新技術で明らかにしたゴルジ体の真の姿~糖鎖合成異常から起こる病気の診断、治療法開発に期待~
2024年6月14日
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪府茨木市、理事長:中村祐輔)医薬基盤研究所長・創薬デザイン研究センター生体機能分子制御プロジェクト 片桐豊雅プロジェクトリーダー、大阪大学大学院医学系研究科 國井政孝講師、鷲見拓哉助教、原田彰宏教授(細胞生物学)らの研究グループは、ゴルジ体が小さな単位 「ゴルジユニット」から構成され、その中を糖鎖合成酵素の更に小さい集まり「ゾーン」が動き回ることを明らかにしました。
タンパク質への糖鎖合成は、タンパク質の機能に必須であることが知られています。主要な細胞小器官であるゴルジ体は糖鎖をタンパク質上に合成する場ですが、これまで糖鎖を合成する酵素がゴルジ体のどこに分布するか解明されていませんでした。
今回、研究グループは、理化学研究所光量子工学研究センター生細胞超解像イメージング研究チームの中野明彦副チームリーダーらと共同で、生きた細胞に対して、ゴルジ体中の糖鎖合成酵素の局在を高い空間・時間分解能を持つ顕微鏡(超解像顕微鏡)で観察することにより、ゴルジ体が小さな単位「ゴルジユニット」から構成され、そのユニットの中を糖鎖合成酵素の更に小さい集まり「ゾーン」が動き回ることを解明しました。今回の発見により、糖鎖を合成する酵素がゴルジ体のどこに位置するかがわかり、タンパク質上の糖鎖合成のメカニズムの解明につながることが期待されます。さらに、糖鎖異常によっておきる病気の原因解明や診断・治療への応用が期待されます。
本研究成果は、2024年5月27日(月)に英国科学誌「ネイチャーコミュニケーションズ」(オンライン)に掲載されました。
論文URL
https://www.nature.com/articles/s41467-024-48901-1
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