肝移植患者におけるCOVID-19 mRNAワクチンの免疫応答評価〜免疫抑制剤服用下におけるワクチン追加接種の重要性〜
2024年4月30日
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪府茨木市、理事長:中村祐輔、以下「NIBIOHN」という。) 難病・免疫ゲノム研究センター 山本拓也センター長、プレシジョン免疫プロジェクト 野木森拓人特任研究員、長束佑太特任研究員と、大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学 土岐祐一郎教授、江口英利教授などの研究グループは、免疫抑制状態にある肝移植患者へのCOVID-19 mRNAワクチン(以下「ワクチン」という。)接種の効果を検証するための解析を実施しました。
本研究は、COVID-19の重症化リスクが高い免疫抑制剤服用下の肝移植患者における感染予防として、ワクチンの追加接種の重要性を示しており、特に免疫抑制剤を単剤内服している患者では3回、多剤内服している患者ではそれ以上のワクチン接種が必要であることを明らかにしました。一方で、重症化予防に関与する抗原特異的メモリーCD8 T細胞の免疫応答については、健康成人及び肝移植患者に関わらず、ワクチン3回接種による増強が見られず、ワクチンによるメモリーCD8 T細胞誘導能の改善が必要であると考えられます。この結果は、免疫抑制状態にある肝移植患者に対するワクチン接種戦略を考える上で重要な知見であるとともに、今後の当該ワクチンの課題を示したものとなりました。本研究成果は2024年2月26日、英科学誌Communication Medicine(電子版)にて公開されました。
論文URL
https://www.nature.com/articles/s43856-024-00448-4.pdf
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