国立健康・栄養研究所(NIHN)のお知らせ
日本版栄養プロファイルモデル(加工食品版・料理版)を開発―日本の食文化や栄養課題を踏まえた加工食品や料理の栄養評価法―
2024年10月11日
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪府茨木市 理事長 中村祐輔)国立健康・栄養研究所の瀧本秀美所長らの研究グループは、2つの日本版栄養プロファイルモデル(加工食品版・料理版)を開発しました。【発表のポイント】
〈日本では整備されていなかった「栄養プロファイル」の日本版を開発〉
諸外国では、食品の栄養価を総合的に判断できるよう、特定の栄養素等の含有量で食品を評価する「栄養プロファイルモデル」が整備され、栄養政策で活用されていますが、日本ではこれまで整備されていませんでした。この度、国立研究開発法人としての公平的・中立な立場にたち、加工食品や料理の新しい栄養評価法として、日本の食文化や栄養課題を踏まえた日本版「栄養プロファイルモデル」の加工食品版と料理版の2つを開発しました。
〈日本版「栄養プロファイルモデル」について〉
◆加工食品版:
加工食品中の栄養素等の含有量に基づき当該食品が健康に良い影響を与えるかどうかを点数で評価するもので、日本食品標準成分表に収載されている668種類の加工食品を対象に開発しました。この668種類を栄養学的な特徴で6つの食品群に分類し、類似した食品の間で点数を比較することで、健康に配慮して製造された加工食品をより高く評価できるように工夫しています。
◆料理版:
食品単独ではなく、料理1食分あたりの栄養素の含有量で"料理"の栄養価に応じて"料理"をランク付けする、国際的にも画期的な栄養プロファイルモデルです。このモデルにより、単独では摂取しない調味料(みそ、しょうゆ等)や調理油等を含めた食品の組合せを包括的に評価でき、特に単独では摂取しない調味料等について摂取の実態に即した評価が可能となります。また、例えば、麺類の汁を残した場合・残さなかった場合の健康への影響も数値化して比較することも可能であり、より適切な食べ方の提案にも応用できます。
〈期待されること〉
消費者がより健康的な食品や料理に容易にアクセスでき、自然に健康になれる食環境整備を進めるために、今回開発した2つの日本版栄養プロファイルモデルを活用し、食品事業者による食品や料理の改良が促進されることが期待されます。
本研究成果は、2024年9月6日、7日に「Nutrients」にそれぞれ発表されました。
ウェブサイト:https://doi.org/10.3390/nu16173026、https://doi.org/10.3390/nu16173012
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