医薬基盤研究所(NIBIO)のお知らせ
「腸内細菌叢プロファイリングのためのグアニジン溶液を用いたヒト便のサンプリングおよび核酸抽出方法の最適化」に係る論文掲載について
2017年6月28日
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所のワクチンマテリアルプロジェクトならびに腸内環境システムプロジェクトの國澤純プロジェクトリーダーと細見晃司特任研究員は、身体活動研究部 宮地元彦部長、村上晴香室長、バイオインフォマティクスプロジェクト 水口賢司プロジェクトリーダーらと共同で、グアニジン溶液を用いたヒト便のサンプリング及び保管条件、便からの核酸抽出方法の違いが腸内細菌叢プロファイリングに及ぼす影響を検討し、サンプリングから核酸抽出までの一連のプロトコルの最適化を行いました。
腸内細菌と健康や疾患が関連することが近年明らかとなってきており、本領域の研究が世界中で精力的に進められています。腸内細菌叢は主に便を用いて解析されていますが、便のサンプリングや保管方法などを含む一連のプロトコルは標準化されていないのが現状です。しかし、研究結果の再現や多施設間でのデータの共有などの観点から、便を用いた腸内細菌叢の解析プロトコルの標準化が求められています。近年、利便性などの観点からグアニジン塩などを含む保存液を用いて便を採取する方法が広く用いられるようになってきています。しかし、グアニジン溶液などの保存液を用いたサンプリングや、サンプルの保管、核酸の抽出方法に関する検討は十分に行われていませんでした。そこで、本研究においてグアニジン溶液を用いて採取した便から核酸を抽出するまでの一連のプロトコルについて検討を行いました。
本研究で得られた成果は、腸内細菌叢の解析におけるサンプリングから核酸抽出までのプロトコルの標準化のための重要な知見であり、腸内細菌叢の研究の進展に寄与すると考えられます。本成果が、米国科学誌「Scientific Reports」に掲載されましたので、お知らせいたします。(論文タイトル:Method for preparing DNA from feces in guanidine thiocyanate solution affects 16S rRNA-based profiling of human microbiota diversity)
本研究は、厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策政策研究事業)、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業(医と食をつなげる新規メカニズムの解明と病態制御法の開発)などの支援を受けて行われました。
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