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研究紹介:運動と大豆イソフラボンの併用は雄性骨粗鬆症モデル動物の骨量減少をより効果的に抑制する

作・呉 堅:2003/07/02


 「骨粗鬆症」という言葉を聞くと、大抵女性の閉経 や更年期に関係している病気というイメージを浮 かべる人が多いが、実際には骨粗鬆症は女性の" 特 許" ではない。

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 「骨粗鬆症」という言葉を聞くと、大抵女性の閉経 や更年期に関係している病気というイメージを浮 かべる人が多いが、実際には骨粗鬆症は女性の" 特 許" ではない。近年、高齢男性の骨折率の増加がみ られ、男性における骨粗鬆症の問題が取り上げら れている。確かに、男性には女性のような閉経と いう性ホルモン(エストロゲン)の急減による骨 量低下はみられないが、40 代から50 代にかけて 男性ホルモン(テストステロン)が少しずつ減り 始め、何も感じないまま骨の量が減っていく。そ のうえ、食習慣、喫煙、飲酒、運動不足などの生 活習慣が関わって、このような" 沈黙の病気" が進 みやすくなる。やがて骨が脆くなり、骨折が起こり、 寝たきりにつながってしまう。従って、男性にお いても生活習慣の改善による骨粗鬆症に対する一 次予防は、高齢化社会にとって重要かつ緊急な課 題である。
 我々は、女性ホルモンの欠乏によっておこる閉 経後骨粗鬆症に対する大豆イソフラボンの予防効 果を、骨粗鬆症モデル動物を用いて明らかにして きた。大豆イソフラボンは弱い女性ホルモン様の 作用を持つことから、植物性女性ホルモンといわ れている。一方、骨は運動器官であり、運動刺激 は骨の代謝を促すことから、大豆イソフラボンと 運動の併用は、閉経後骨粗鬆症の予防に一層効果 的であることが我々の研究で明らかになった。男 性の骨粗鬆症の発症は、男性ホルモンの減少に関 わりながら、骨量の減少は血中男性ホルモンの濃 度よりむしろ血中女性ホルモンの濃度と強く関係 していることが臨床的データから示された。つまり、 男性においても骨量の維持には、女性と同様にエ ストロゲンが重要な役割を果たしていることが示 唆された。このような研究結果を踏まえ、我々は 男性骨粗鬆症モデル動物の骨量低下に対する大豆 イソフラボンと運動の併用による予防効果を検討 した。つまり、男性骨粗鬆症モデル動物に大豆イ ソフラボン投与、中強度の走運動および両者の併 用を一ヶ月間介入し、骨密度、骨組織構造などデー タを比較検討した。
 その結果、大豆イソフラボンと運動の併用群では、 大腿骨の骨密度および骨の構造は、何も処置しなかっ た群より著しく改善され、またそれぞれの単独介 入に比べ改善の度合いが大きかった。これらの結 果から、男性においても女性と同様に積極的な骨 粗鬆症の予防策を取るべきであり、生活習慣を改 善することよって骨粗鬆症に対する予防効果が期 待できる可能性が示唆された。今後、男性の骨粗 鬆症予防に有効な新規食品成分を検索し、さらに ヒトにおける安全性・有効性試験を実施する予定 である。

出典:Jian Wu, Xin Xiang Wang, Hiroshige Chiba, Mitsuru Higuchi, Misao Takasaki, Atsutane Ohta and Yoshiko Ishimi. Combined Intervention of Exercise and Genistein Administration Prevented Androgen Deficiencyinduced Bone Loss in Mice. J Appl Physiol. 94: 335-342; 2003
文献問い合わせ:ishimi@nih.go.jp



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