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食事:とうがらしの辛味成分とその作用

作・大坂寿雅:2003/01/06


とうがらしの辛味成分の主なものはカプサイシンとジヒドロカプサイシンであり、辛味成分の80〜90%を占めます。

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 とうがらしの辛味成分の主なものはカプサイシンとジヒドロカプサイシンであり、辛味成分の80〜90%を占めます。残りは10数種に及ぶ微量のカプサイシン類似物質です。カプサイシンは白色の粉末であり、脂溶性が高く、水にはほとんど溶けません。カプサイシンは体内で加水分解されて、特異的な作用がない脂肪酸などの代謝産物になります。
 カプサイシンを含む食物を口に入れたり、カプサイシン入りの湿布薬やクリームを使用すると、いわゆるホットな感覚がするのは多くの人が経験するところでしょう。これは、カプサイシンが口腔内や皮膚などの感覚神経に直接作用して温度感覚を引き起こすためです。カプサイシンの受容体は、痛みや温度などを感知する一次感覚神経に限局していて、そのほかの組織には見出されていません。カプサイシンによってホットな感覚が起き、皮膚血管が拡張して顔が赤らみ、汗をかいたりする反応は、熱の放散を高めて体温を下げようとする自律反応です。これはカプサイシンによって温受容器が刺激されるためで、実際には体温は正常であるにもかかわらず暑いと誤認してこのような反応が起きるために体温は低下します。カプサイシンは、熱放散反応と同時に、副腎髄質からカテコールアミンを分泌させることによって、体温を上げる反応である熱産生も促進します。カプサイシンによる熱放散と熱産生とは、ともに脳によって、司られる反応ですが、熱放散と熱産生の脳内機構は別々であることがわかっています。 このほか、カプサイシンは胃粘膜保護作用や関節痛の緩和、血圧受容器の異常による高血圧の緩和作用などの多様な作用が知られ、臨床実験が行われています。特にカプサイシンによる鎮痛・抗炎症作用は注目されて様々な誘導体が合成されていますが、薬物として有用な物質は、まだ見出されていません。


(国立健康・栄養研究所編『第二版 健康・栄養-知っておきたい基礎知識-』第一出版、東京、2001収載。出版社の許可を得て転載)



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