【解答】
御質問の内容から見ると栄養関係の専門家ではなく、一般の方からの質問と思われますので、そのつもりで答えさせていただきます。
食べ合わせによる吸収の違いに関しては様々なことがいわれております。
第四次改定日本人の栄養所要量(第一出版、平成元年)76頁に
「摂取カルシウムの利用率
摂取されたカルシウムの利用率は、摂取カルシウム量、摂取たん白質量、摂取
リン量、摂取繊維量さらに食品の種類などによって影響を受ける。」
との記述があります。しかし、それぞれに関して引用文献はありません。またビ
タミンDがカルシウムの吸収に関与することは栄養学的には常識です。
問題は、通常の食事による吸収率に比べ、どの位効果があるかという点です。
実は、通常の食事がどんなものかについてはっきりさせておかないと、はなしを
先に進めることが出来ません。したがって、まず、「通常の食事」とはどんなも
のかをきめて、それからその食事に例えばビタミンDを加えたときにカルシウム
の吸収がよくなるかどうかを検討したデータを探すということになります。
なお、ビタミンDは食品中には偏在しており、魚、きのこなどが主な供給源で
す。それらを食べないと供給されないことになります。ただし、食事の組み合わ
せによってカルシウムの吸収率が高まるかどうかを実際に検討するのは難しいの
で、その答えは見つからないと思います。
上記出版物81頁に「肉類、赤身の魚などによる動物性たん白質、またビタミン
Cを多く含む食品は鉄の吸収を高めるので・・・」とあり、引用文献としては
Monsen ER et al: Estimation of available dietary iron. Am J Clon Nutr
31: 134 (1978)を挙げています。ただし、食事の組み合わせによって鉄の吸収率
が高まるかどうかを実際に検討するのは難しいので、その答えは見つからないと
思います。
糖質の燃焼とビタミンB1,Cとの関係ですが、カルシウムや鉄の問題と同じでは
ありません。これは食事による吸収率の問題ではなく、ビタミンB1の摂取不足の
問題となります。また、ビタミンCと糖質との関係はよく判りません。
脂溶性ビタミンの吸収と脂質摂取の問題について、ビタミンA, Eは、脂質と一
緒に吸収されるので調理に脂質を用いると吸収がよいと考えられています。
質問全般に言えることですが、現在の栄養学的常識の中には、理屈で正しくて
も、実際のデータ、とくに日本人を対象にしたデータはほとんどないのが現実で
す。したがって答えは無いのがほとんどでしょう。
食事や健康について関心をもっていただき有り難うございます。栄養所要量に
関する出版物は5年に1回出版されており、たいていの情報は「栄養所要量」と「
食品成分表」からの情報です。お読みいただけると幸甚です。