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栄養調査関連論文集
3  食物摂取頻度調査法/食事歴法
                             

自記式食事歴法質問票を用いた簡単な個別栄養指導が栄養素等摂取量の改善に及ぼす効果 −地域における軽症高コレステロール血症者を対象とした健康教室の例−

目的 軽症高コレステロール血症を対象とした地域の健康教室において、半定量食物摂取頻度調査法の一種であり、著者らが開発した自記式食事歴法質問票(Self-administered diet history questionnaire; DHQ)及びその解析ソフトを用いて行った個別栄養評価・指導が、食習慣、特に栄養素摂取量の改善に及ぼす効果について検討する。
方法 滋賀県彦根市が実施した平成7年住民基本健診において、軽症高コレステロール血症と診断された市内A地区71人、B地区118人を対象に、健康教室を計7回、期間は4ヶ月間、食事指導および指導効果の評価のために、教室前後にDHQを用いて食事調査を行った。DHQは、日常の食行動に関する質問、110食品の摂取頻度と1回摂取量に関する質問、主食の摂取頻度及び1回摂取量に関する質問、及び上記以外の食品の摂取頻度及び1回摂取量に関する質問の4項目からなっている。A地区においてはDHQに基づく個別の食事指導を第2回目と第7回目に行った。B地区には集団指導を行った。そして栄養素等摂取量の指標として、総エネルギー量、6種類の多量栄養素摂取量及び8種類の微量栄養素摂取量、飽和脂肪酸に対する多価不飽和脂肪酸の比(以下P/S比と呼ぶ)、キースの値{2.7*[飽和脂肪酸(エネルギー比率)−多価不飽和脂肪酸(エネルギー比率)/2]−1.5*√[食事性コレステロール(mg/1,000kcal)]}、及び14種類の食品群摂取量を用いた。教室の前後における栄養素及び食品群摂取量の差の平均値を、対応のあるt-検定を用いて検定した。また、これら教室前後の変化について、2群間で平均値の差を対応のないt-検定を用いて検討した。
結果 年齢、身長、体重、body mass index;BMI、血清総コレステロール、HDL-コレステロール、中性脂肪、教室参加率のうち、個別指導群(A地区)で体重が重く、集団指導群(B地区)でHDL-コレステロールが高く、個別指導群の教室参加率(79%)が、集団指導群(65%)よりも高い傾向が認められた(p<0.05)(→表1)。教室開始前の各摂取量については、個別指導群で多価不飽和脂肪酸摂取量が少なく(p<0.05)、有意ではないものの飽和脂肪酸摂取量が多いため、P/S比でも低い傾向が認められた(p<0.05)。高コレステロール血症に関係する栄養素摂取量の変化をみると、個別指導群において飽和脂肪酸、P/S比及びキースの値で有意な変化を認めた(p<0.01)。食事性コレステロールも減少を認めたが、有意ではなかった。集団指導群でも、個別指導群と類似の変化を認めたが、食事性コレステロールを除き、上記全ての栄養素で変化率は小さく、いずれの変化も有意ではなかった(→表2)。食品群別摂取量の変化では、個別指導群では果実類と穀物類で有意な変化を認めた(p<0.05)。集団指導群では穀類(p<0.01)及び調理油(p<0.05)で有意な変化を認めた。果実類、菓子類及び野菜類では両群で類似の変化を認めた。教室前後の変化について、2群間の差を検討した結果、栄養素では飽和脂肪酸、カルシウム、食品群では穀類、乳類で有意な差が認められた(p<0.05〜0.01)(→表3)。
結論 地域における軽症高コレステロール血症者を対象とした健康教室において、DHQを用いて個人の食事習慣、特に栄養素等摂取量を定量的に把握し、教室初期に、その結果に基づいた個別指導を導入した結果、従来の集団指導を中心とした方法に比較して、有意な栄養素等摂取量の改善が認められた。栄養素等摂取量の変化は、高コレステロール血症の予防及びコントロールに望ましいもので、他の疾患予防の観点からみて好ましくないと考えられる栄養素等摂取量の変化は観察されなかった。また、教室への平均参加率には2群間で有意な差が認められた。
出典 栄養学雑誌 1998;56(6):327-338.
著者、
所属
佐々木敏、柳堀朗子

〔要約作成者:草間かおる〕

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