バランスの良い食事ってどんな食事ですか?
エネルギーや栄養素の不足(欠乏)が無く、生活習慣病等につながるような過剰や不足もない食事を指します。専門的には栄養素ごとに基準が定められていますが、食事バランスガイドを参考にして、「主食」「主菜」「副菜」とともに、適度に「牛乳・乳製品」「果物」を組み合わせることで、みなさんの普段の食事でも実現可能です。
ごはんは食べて良いんですか?
妊娠期・授乳期は、ママの健康と赤ちゃんの健やかな発育において大切な時期で、普段よりも必要なエネルギー(カロリー)が増えます。“お菓子を食べるためにご飯を減らす”、“ご飯を減らして、おかずをたくさん食べる”など、エネルギーの帳尻をあわせるのではなく、ご飯・パン・めん類などの主食を中心にエネルギーをしっかり摂りましょう。主食をしっかり食べることによって、脂肪のとりすぎも防ぐことができます。
肉や魚って食べて良いんですか?
肉や魚、卵、大豆製品などの主菜には、赤ちゃんの発育に必要な栄養であるたんぱく質を多く含んでいます。いろいろな食品を組み合わせ、偏りなく食べましょう。なお、魚は良質なたんぱく質やカルシウムを豊富に含み、健康な食生活に不可欠ですが、一部の魚には水銀が食物連鎖によって取り込まれており、ママを通じて赤ちゃんに影響のおそれがあるとの報告もあります。特定の魚を偏って食べず、種類と量のバランスを考えて食べましょう。
*魚介類に含まれる水銀について、妊婦向けパンフレットが厚生労働省ホームページから入手できます。
野菜をたっぷり食べるってどうしたらいいんですか?
毎食の食事で野菜を食べるようにする事からスタート。次に1回の食事で食べる野菜の目安量を知りましょう。70g×2品の副菜か主菜の料理を、または生で両手1杯、ゆでた野菜はしぼって片手2個分が簡単な目安量です。野菜料理はいろいろありますが、スープ煮、野菜炒め、鍋なども一度に野菜をしっかり食べられる料理です。野菜料理を組み合わせて、簡単に美味しく食べていきましょう。
どんなサプリメントをいつまで摂った方が良いんですか?
妊娠前から妊娠中に不足しがちな栄養素のひとつとして、細胞や血液を作る働きがある葉酸が挙げられます。妊娠初期は赤ちゃんの細胞増殖が盛んで、神経管の形成期であるため、この時期に葉酸摂取が不足すると、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクが高まるといわれています。このリスク低減のために、妊娠の1ヵ月以上前から妊娠3カ月頃までは、通常の食事からの葉酸摂取に加えて、サプリメントなどから1日に400μgの葉酸摂取がすすめられています。ただし、通常の食品以外からの葉酸摂取は、一日の耐容上限量(18~29歳:900μg、30~49歳:1000μg)を超えないように気をつけましょう。
妊娠中に食べてはいけないものがあるんですか?
妊娠中の食べ物が赤ちゃんに影響を与えるものがあります。生の肉、加熱不十分な肉や魚の加工品、ナチュラルチーズ、生卵などは感染の危険や、食中毒になる危険があるので控えましょう。また食べる量に注意する食品もあります。魚は種類によって水銀の含有量から1食の量や回数が制限されます。またビタミンA(レバー、うなぎ等)ヨウ素(昆布等)ヒ素(ひじき等)カフェイン(コーヒー等)などは1日の目安量があり、摂りすぎに注意しましょう。
3食きちんと食べないといけないんですか?
妊娠中はつわり症状があり食べられない、お腹がすぐ一杯になる。朝起きるのが遅く朝食と昼食が一緒になるなど、妊娠の時期や食習慣の違いもありますが、妊娠中は1日3食は基本ですと説明しています。胎児の成長に伴い、必要なエネルギーや栄養素が増えていきます。1日2食の食事で補うのは難しく、3食の食事をしっかり食べる事がとても重要になります。食事の内容も大切で、主食、主菜、副菜を組み合わせることもポイントです。
妊娠中にどれくらい体重が増えても良いんですか?
妊娠前の体格によって、勧められる体重増加は異なります。国際的な推奨では、標準体型の方(BMI 18.5-24.9) は11.5-16.0kgが推奨されています。体重の増えが少ないと、小さな赤ちゃんが生まれやすいことが明らかになっています。さらにスレンダータイプの方は体重増加が少ないと早産の傾向が、一方ポッチャリタイプの方は体重が増えすぎると帝王切開の傾向が強くなります。2021年に日本産科婦人科学会から「妊娠中の体重増加量指導の目安」が示されました。
妊娠中に体重が増えるのがこわいです。出産後、やせられますか?
平均的な体重である3000gの赤ちゃんならば、羊水や胎盤などを含めて、出産直後にお母さんの体重は約5㎏減少します。妊娠中には体内に浮腫が起こり、血液も増加しています。産後数週間かけてこれらが元に戻り、標準体型の方なら体重が約5㎏減少します。また母乳はお母さんの栄養ですから、授乳により減量することもよくあります。適正な体重増加ならば妊娠前の体重に戻すことは難しいことではありません。
どんな運動をどれくらいしたら良いんですか?
妊娠中の水泳やエアロビクスなどのプログラムもありますが、これらを含めて「何の運動」を「どれだけ行う」と良いかについて明確な根拠はありません。ただし、極端な運動不足や過度な重労働は、妊娠や出産に悪影響を与える可能性がありますので、食事や生活リズム、疲労などの状況を見ながら、ほどよい体重増加となるよう、日頃の身体活動を調整して下さい。
母乳に良い食べ物ってありますか?
母乳に良い特定の食べ物というのはありません。母子手帳にも記載がある食事バランスガイドをもとに、バランスのよい食事を一日3回摂取するのが大切です。母乳育児中は、妊娠前のプラス350kcal食事量を増やすとよいとされます。普段よりも主菜、副菜、果物などを多くとりましょう。また、授乳中は、水分摂取も心がけましょう。育児で忙しい中、毎日の食事作りは大変なので、惣菜、宅食、ミールキット、お弁当、外食なども上手く活用してみてくださいね。
お酒やたばこは絶対禁止ですか?
妊娠中の女性の飲酒は、赤ちゃんに知能障害や奇形、発育障害を伴う胎児性アルコール症候群(FAS:Fetal Alcohol Syndrome)を引き起こす可能性があります。また、授乳中の女性の飲酒は、母乳中のアルコールが赤ちゃんの脳に作用し、運動発達や睡眠覚醒サイクルに悪影響を及ぼすことが分かっています。妊娠中や授乳中の女性の飲酒は控えたほうがよいです。
たばこには、ニコチンという有害成分が含まれます。妊娠中や授乳中の女性の喫煙は、様々な異常(低体重出生児、流産・死産など)を引き起こす可能性があります。赤ちゃんが、喫煙に晒されると(受動喫煙)、乳児突然死症候群(sudden infant death syndrome : SIDS)を起こすリスクが高くなるか可能性があります。加熱式たばこでもニコチンを含むため、同様の害があります。お母さん本人だけでなく、家族全員の禁煙が望まれます。
妊娠中にコーヒーや紅茶は飲んではダメですか?
妊娠中の女性がカフェインを多く摂取することによって、低体重出生や、流産や死産を起こすリスクが高まるという研究結果があります。妊娠中の女性が、毎日コーヒー1,2杯飲むことは問題ありませんが、紅茶や緑茶、ウーロン茶などにもカフェインは含まれるのでトータルで300㎎を超えないようにしましょう。とくに、妊娠中の女性は、ほうじ茶や麦茶、低カフェインコーヒーなどの低カフェインやノンカフェインの飲み物を意識的に取るとよいでしょう。(カフェインの含有量の参考量:コーヒー1杯60mg、紅茶や緑茶:250 mLあたり50 mg未満)
どうしたら正しい情報を見分けられますか?
今はお母さんたちにとっても大変な時代です。情報が多すぎて取捨選択に困っている方も多くいらっしゃるでしょう。「正しい情報の選び方」は本当に難しく、正解は1つではありませんので、私がみなさんと同じ母親として心がけていることをお伝えします。
まずは、きちんとした根拠を元にした情報であること。どこでも誰でも情報発信できる今、信頼できるかどうかは、根拠やデータを伴っているかどうかではないでしょうか。そして、ご自身と価値観の近しい方がその情報に同意できること。正しいかどうか迷ったら、あなたが信頼する周りの方に意見を聞いてみるのも良い手だと思います。最後に、ご自身がその情報によって窮屈にならないこと。これだけの情報社会、情報でがんじがらめになりストレスを感じては本末転倒です。
情報は情報であって、ルールではありません。あなたの生活をよりよくするために存在するものだということを念頭におきながら、情報と向きあいましょう。