2021.10.27
, EurekAlert より:
科学的プロセスに関するインフォグラフィックに短時間触れることは、COVID-19に関する誤情報の影響を減らすなど、科学に対する人々の信頼を強化できる可能性があるかもしれない、という米国インディアナ大学からの研究報告。
10月14日に『医療インターネット研究雑誌』オンラインで公開されたこの研究は、エビデンスに応じて科学的推奨がどのように変化するかについてのインフォグラフィックに少なくとも60秒間さらされると、科学に対する人の信頼がわずかに高まるように見えると報告している。信頼の高まりが、いわゆる媒介効果を通じて、COVID-19の誤情報に対する信念も減少させたといういくつかのエビデンスもえられたという。
本研究結果は、コロナウイルスに関する誤情報に対する取り組みを強化するポテンシャルを秘めているという。コロナウイルスの誤情報は、ワクチン接種率の低下と入院増加に貢献しており、世界中の医療専門家にとって大きな懸念事項である。
「誤情報はCOVID-19に固有のものではないが、パンデミックの際に一般的かつ蔓延するようになった」と主任研究者のジョン・アグレー准教授は述べている。「我々の研究は、科学的方法についての真実かつ容易に理解できる説明を提供することが誤情報の影響を減らすかもしれない、という考えをさらに探求するために、いくつかの基礎を築き上げた。」
本研究は、Prolificプラットフォームから採用された1,017名の成人を対象としており、年齢、性別、人種によって全米の代表性を有する標本となっている。参加者は、ランダムに、「介入インフォグラフィック」群(バターとマーガリンについての健康推奨の変化を例に用いた科学プロセスに関するもの)と「対照インフォグラフィック」群に振り分けられた。どちらのインフォグラフィックも同一のグラフィックデザイナーが制作した。
研究チームは、「科学者が科学的アイデアについて考えを変えると、彼らの仕事に対する私の信頼は損なわれる」などの文章に同意するか尋ねる21項目の質問票を使用して信頼を測定した。信頼のレベルが低いと、誤情報を信じる可能性が高くなるため、チームは、科学者が新しいエビデンスに応じてなぜ考えを変えるのかといった、科学の本質的な側面を説明することで、人々が誤情報を信じることを防ぐことができるかどうかを調べた。
彼らの研究は、科学と科学者への信頼が、人々がCOVID-19の誤情報をどれくらい信頼するかに関連している可能性があるというエビデンスを発見した以前の研究に基づいている。
「ファクトチェックなどの誤情報に対処するための継続的な研究と努力は数多くあるが、既存の知識にある程度のあいまいさやニュアンスが含まれる場合、規模の問題や不確実性の問題に悩まされることがしばしばある」とアグレー准教授は述べている。「対照的に、我々のアプローチは、もし再現性があるなら、より一般的に信頼と科学に焦点を当てることによって、これらの懸念を回避できる可能性がある。」
「誤情報の影響を減らすためのメッセージングは、個々の誤情報には対処するのではなく、代わりに、信頼を低下させかねない科学や科学者の誤解について話すことによって、誤情報の影響に対するより一般的な抵抗を提供できるということだ。」
アグレー准教授によると、やるべきことはまだたくさんあるが、この研究は、パンデミックに関する科学的プロセスだけでなく、人々の選択に誤情報が与える影響を減らせる他の健康トピックスについて、人々を教育するより良い方法につながる可能性がある。
出典は『医療インターネット研究雑誌』。 (論文要旨)
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