2021.5.12
, EurekAlert より:
習慣的に身体活動を行っている人は、COVID-19に感染しても入院やICUへの収容、死亡するリスクのいずれも低いことが示された。たとえば、1日30分×週5回のウォーキングによって、入院リスクは半減するようだ。米国カイザーパーマネンテによる48,000人以上を対象とした調査から。
「これは、健康的なライフスタイル、特に身体活動の重要性に対する『モーニングコール』です」と、カイザーパーマネンテ・フォンタナメディカルセンターのサリス医師は述べている。「カイザーパーマネンテは人々の健康を維持することが動機となっています。この研究は、このパンデミック以降、身体活動がいかに重要であるかを示しています。定期的に運動する人々はCOVID-19に打ち勝つ可能性が最も高く、活動していない人々は大幅に悪化をたどったのです」。
本研究では2020年1月1日〜10月21日の間にCOVID-19と診断された48,440人の成人を対象としている。彼らは2018年3月〜2020年3月に「エクササイズ・バイタルサイン」を2回以上確認されている。
カイザーパーマネンテ南カリフォルニア病院では2009年以降、外来患者のエクササイズ・バイタルサインを受診時に毎回確認することとしている。具体的には、中〜高強度の週あたりの運動頻度と、運動強度ごとに1回あたりの平均時間を訊ね、電子健康記録に保存している。
対象者の年齢の中央値は47歳、女性は61.9%で、人種は南カリフォルニアの人口の多様な人種構成と同様だった。週当たりの身体活動時間ごとに活動群(150分以上)6.4%、非活動群(10分以下)14.4%、中間群に分類してCOVID-19の病状の比較を行った。
全対象者のうち、8.6%が入院、2.4%がICUに収容、1.6%が死亡したが、非活動群はCOVID-19の病状の悪化と強く関連していることが示された。
<結果の概要> ・非活動群は活動群に比べ、入院率は2倍以上、ICU収容率1.73倍、死亡率は2.49倍であった。
・年齢60歳以上、または臓器移植歴のある人を除くと、非活動群は各種基礎疾患(がんや糖尿病、循環器疾患、腎臓病、高血圧など)を持つ人よりも死亡リスクが高かった。
なお、非活動群と中間群とを比較した場合にも、中間群の方がCOVID-19の重症化率が(活動群ほどではないが)低く、少しの身体活動でも利益があることが示唆された。
「この研究で私が最も驚いたのは、活動と悪い結果との関連性の強さでした」と、研究の共著者であるヤング博士は話している。「肥満や喫煙などの変数を分析に含めた後でも、非活動的であると、中程度の身体活動やその他の活動と比較して、入院、ICU収容、死亡の確率の大幅な上昇と強く関連していることがわかりました」。
サリス博士によると、おすすめする「運動処方」は簡単なものだという。「適度なペースで1日30分、週5日歩くと、COVID-19に対する驚異的な保護効果が得られます」。そして「適度なペース」とは、歩きながら歌うことはできないが話すことはできる程度に息が上がるレベルだと付け加えている。「特にこのCOVID-19の時期において、運動は誰もが服用すべき薬であると私は信じ続けています」。
出典は『英国スポーツ医学雑誌』。 (論文要旨)
|