2021.2.18
, EurekAlert より:
マスク内は呼気に含まれる水分がキープされるため高湿度となり、着用者の気道が潤うことで免疫系に有利に働き、COVID-19の重症度を抑制する可能性が示された。米国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所の研究。
マスク着用は新型コロナウイルスを含む飛沫の吸入や拡散の防止に役立つのは明らかだが、さらなる利点が示唆された。
「フェイスマスクは吸入する空気の湿度を大幅に上昇させることがわかりました。これまでに発表された研究における、COVID-19の重症度の低下とマスクの着用の関連性の要因は、気道が潤うことにあると私たちは考えます。高い湿度はインフルエンザの重症度を緩和するとされており、COVID-19にも同様のメカニズムが当てはまるのではないでしょうか」と筆頭著者であるバックス博士は述べている。
高い湿度は、粘液を除去する防御機構を促進し、肺へのウイルス拡散を抑えたり、ウイルスと戦う特別なたんぱく質を生成することで免疫システムを強化すると考えられている。低い湿度ではこれらの働きが損なわれてしまうため、寒い気候では呼吸器感染症にかかりやすくなるのではないかとされている。
今回の研究では、一般的な4タイプのマスク(N95マスク、使い捨ての3層サージカルマスク、綿とポリエステルの2層マスク、厚手の綿マスク)について調べた。ボランティアにそれぞれのマスクを着用してもらい、密閉された金属製の箱に息を吹きこませて箱内の湿度を測定した。
マスク非着用の場合には、呼気に含まれる水蒸気により箱内の湿度が急速に上昇したが、マスク着用時にはほとんどの水蒸気はマスク内にとどまり、箱内の湿度は大幅に低下した。すべてのマスクで大きな水蒸気保持能力がみられたが、最も能力が高かったのは厚手の布マスクだったという。
なお、この研究はウイルス自体の吸入量や感染の有無までを確認したものではないが、研究者はCOVID-19との闘いにシンプルで効果的な方法としてマスク着用の重要性を訴えている。
出典は『生物物理雑誌』。 (論文要旨)
|