2020.9.24
, EurekAlert より:
日常的に眼鏡を着用するとCOVID-19感染リスクが抑えられるかもしれない。湖北省のCOVID-19入院患者のうち、眼鏡着用者の割合は同地域の近視者の割合より顕著に少なかったようだ。眼鏡を着用すると無意識に眼を触ることがなくなり、手から眼への感染経路が断たれることがその要因ではないかとのことだ。中国・南昌第二病院などの研究。
COVID-19は、主に飛沫と接触を介して感染することが明らかになっているほか、目が重要な感染経路のひとつと考えられている。
近年発表されたレポートによると、中国では近視の人の割合が80%以上とされ、眼鏡の着用は全ての年齢層において一般的だ。にもかかわらず、COVID-19で入院する患者の中で眼鏡をかけた人がほとんどいなかったことに気づいた研究者らは、眼鏡着用とCOVID-19の関連を調べることにしたという。
本研究では、COVID-19治療の指定病院である湖北省の随州市曽都病院に2020年1月27日〜3月13日に入院した全てのCOVID-19患者(276人)を対象とした。このうち、眼鏡を毎日8時間以上着用する習慣のある人を眼鏡着用者とした。
対象患者のうち、男性は155人(56.2%)、年齢の中央値は51(四分位範囲41-58)歳、眼鏡着用者は16人(5.8%)ですべて近視を持っていた。コンタクトレンズ着用者はいなかった。同地域の一般的な眼鏡利用者率の調査については、パンデミックの状況から断念し、過去の調査データを利用することとした。1987年の調査によると、湖北省の7-22歳の近視者の割合は31.5%、対象者は現在42-57歳となっており今回の対象患者の中央値に近いことから比較してみると、眼鏡着用者であるCOVID-19入院患者の割合(5.8%)と顕著な差があることがわかった。
この要因について研究者らは、眼鏡を着用すると目への接触を防ぎ、手に付着したウイルスが目に移動するのを阻止するためと考えているという。
先行研究によると、普通の人は1時間に約10回、無意識に目を触るとされている。目の表面には新型コロナウイルスが上皮細胞に侵入する際に結合する分子(ACE2)が豊富に存在する。また、眼に侵入したウイルスは鼻へ通じる涙の通り道(涙道)を経て鼻や鼻咽頭粘膜に輸送され、呼吸器感染症を引き起こすことがわかっている。実際、COVID-19患者の約1〜12%は眼の症状があるとされる。
これらのことから、目がCOVID-19の重要な感染経路である可能性があることが改めて示唆された。感染予防のためにマスク着用やソーシャルディスタンスなどに気を付けている人は多いが、頻繁な手洗いや目を触らないようにする、といった対策にも注意を払えば、いっそう効果が高まりそうだ。
出典は『JAMA眼科』。 (論文要旨)
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