2020.9.9
, EurekAlert より:
もし沈黙が金ならば、演説は銀、そして歌うことは最悪? 歌い手は沈黙する必要はないが、社会的距離を充分にとって歌った方がよさそうだ、というスウェーデン・ルンド大学からの研究報告。
「合唱団の歌唱に関連したCovid-19の拡散に関する多くの報告がある。そのため、歌唱をより安全にするために世界中でさまざまな制限が導入されている。しかし、これまでのところ、エアロゾルの量に関する科学的調査はなかった」と主任研究者のヤコブ・レンダール准教授は述べている。
エアロゾルは小さな空中浮遊粒子である。我々が歌うときに実際に放出されるエアロゾルとウイルス粒子の量をよりよく理解するために、12人の健康な歌手と2人のCovid-19が確認された患者が、研究プロジェクトに参加した。参加者の7人はプロのオペラ歌手だった。
研究結果は、歌唱-特に大声で子音に富んだ歌唱-がエアロゾルの粒子と液滴を周囲の空気に拡散させることを示したという。
「一部の液滴は非常に大きく、落下する前に口から数十センチしか移動しないが、他の液滴は小さく、数分間、浮遊し続ける場合がある。特に、子音の発音は非常に大きな液滴を放出し、BとPは最大のエアロゾルスプレッダーとして機能する」と筆頭研究者のマリン・アルスベドは述べている。
研究チームは、COVID-19陽性の2人が歌った時、近くの空気中のウイルス測定を行ったが、今回の空気のサンプルには検出可能な量のウイルスは含まれていなかったという。
「けれども、ウイルスの気道における保持は個人差があるので、陽性患者からのエアロゾルには、感染リスクがある」とアルスベドは述べている。
「歌手がシンプルなマスクを着用していたときには、これがほとんどのエアロゾルを捕獲して、通常のスピーチと同等レベルだった。歌うことを止める必要はないが、現在は感染拡大のリスクを減らすために適切な対策を講じる必要がある」とレンダール准教授は述べている。
出典は『エアロゾルの科学と技術』。 (論文要旨)
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