2020.8.21
, EurekAlert より:
SARS-CoV-2がヒト細胞への感染に利用する、細胞の「フック」は、鼻内部の嗅神経上皮と呼ばれる領域に極めて多く存在していることがわかった。この領域はにおいの感知に重要な役割を持っている。米国ジョンズホプキンズ大学の研究。
成人男女計19名から採取した鼻組織サンプル、4名から採取した気管組織サンプルを調べたところ、細胞のフックともいえるアンジオテンシン変換酵素II(ACE2)受容体が、鼻内部の支持細胞において非常に多く発見された。
これらの細胞は、嗅覚ニューロンと呼ばれる嗅神経上皮と呼ばれる領域に存在する。今回、この領域のACE2受容体の数は鼻の他の領域や気管に比べて200-700倍にものぼることがわかった。
研究者らは、嗅神経上皮は感染に対して特に脆弱であるおそれがあり、無症状だったとしても唯一、感染している部位である可能性を指摘している。そのため、彼らは皆がマスクを「正しく」着用することを勧めている。
鼻と気管の両方を裏付ける今回の予備的研究による発見は、COVID-19を治療するための局所的な抗ウイルス薬や治療法の最良のターゲットを見出す一助となる可能性がある。また、COVID-19では鼻の炎症症状が無くても嗅覚異常がみられるという特徴があることの理由を見つける手がかりともなるだろう。
出典は『欧州呼吸器雑誌』。 (論文要旨)
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