2020.8.12
, EurekAlert より:
低温殺菌処理は、COVID-19を引き起こすウイルスを不活性化するので、母乳バンクではパンデミック下でも引き続き安全に母乳が提供できるだろう、という豪州ニューサウスウェールズ大学からの研究報告。
豪州では5つの母乳バンクが存在し、早産で母乳が出ない母親に寄付された母乳を提供し続けているという。
「ウイルスが母乳を介して感染する可能性は今のところ立証はされていないが、理論的なリスクは常に存在する」と筆頭著者のグレッグ・ウォーカー博士候補生は語っている。「今回のパンデミックでは、低温殺菌された母乳の供給が安全上の理由から中断される可能性があったことから、その安全性を検討したいと考えた。」
研究チームは、凍結したまたは搾乳したばかりの母乳に実験的にSARS-CoV-2ウイルスを感染させた。
この感染母乳試料を、63℃30分加熱することで、母乳バンクの低温殺菌プロセスをシミュレートした。
その結果、殺菌プロセスによって、生菌は完全に含まれなくなったという。
実験に使用したウイルス量は、実際に母乳で検出される量よりもはるかに多いものだったことから、今回の発見は本当に自信が持てるものだ、とウォーカー氏は語っている。
なお、感染母乳を-4℃または-30℃で凍結しても、ウイルスはわずかに減少しただけで、48時間の保存後もウイルスは生存していたとのことである。
出典は『小児科学・小児保健雑誌』。 (論文要旨)
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