2022.9.21
, EurekAlert より: 
女性の精神的健康は、男性よりも運動の頻度の影響を受けやすいようだ。運動頻度が高いと、女性の精神的苦痛のレベルはかえって高くなってしまうことがあるという。米・ニューヨーク州立大学による、コロナ禍における運動と精神的健康の関係についての調査結果から。
本研究では、約2,400人を対象として精神的苦痛とパンデミックのさまざまな段階や曜日、運動頻度との関係を調べた。
調査にあたっては、人口統計、学歴、食行動、食事、睡眠、運動のパターンと頻度、および精神的健康状態に関連するデータ41項目を利用した。また、パンデミックは、COVID-19以前、ロックダウン期間、制限緩和期の3つの段階に分類した。
分析の結果、男性と女性で顕著な違いが見られた。パンデミック中、高レベルのストレスがかかる時期に、女性が精神的健康を得るためには頻繁すぎない「適度な」運動を必要とすることを発見した。 これは、頻繁な運動が有利にはたらいた男性とは対照的だった。
「運動は身体への一種のストレスです。しかし、一般的にポジティブな特性に関連するため、ユーストレス[中程度または通常のストレス]と見なされます。」と研究者のベグダチェ准教授は述べている。
「やりすぎると、運動のプラスの効果がなくなり、苦痛になります。高い運動強度に対するストレスホルモン(コルチゾール)の分泌量は、男女で異なることが知られています。」
この研究は、女性が精神的な安定を維持し、元気でいつづけるためには、不安な時期に運動ルーチンを調整する必要があることを示唆しているという。
「女性は男性よりもストレスを感じがちだとされ、このことはストレスに対する耐性の低さを示唆しています」と ベグダチェ准教授。「したがって、運動頻度が高いとストレスレベルが高まり、精神的健康に悪影響を及ぼす可能性があります。」
また、運動頻度が曜日によって精神的健康を左右することも発見された。男性の精神的健康は週末に悪化しがちで、女性は平日に悪化する傾向があった。これは、母親としての責任と、子供の自宅学習や職場での責任とのバランスをとる必要があることに起因する可能性がある。
さらにこの研究は、男女ともに運動を全くしないことと精神的苦痛とが相関していたことを示している。COVIDによる制限が緩和され、運動頻度が上がると精神的健康は改善された。 ロックダウン中は体重増加が問題であったため、運動頻度が増えると、減量に集中したいという欲求が高まったという。
出典は『栄養素』。 (論文要旨)
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