2022.8.30
, EurekAlert より: 
低収入の親が家族に不健康な食品を買い与える主要な理由のひとつは、社会的幸福度を増すが手が届かない食品以外の活動の代償としてであるようだ、という英国ロンドン大学シティ校からの研究報告。
この研究には、イングランドの 3 つの地域 (グレートヤーマス、ストークオントレント、ルイシャムのロンドン自治区) の恵まれない地域から均等に募集された、低所得の60人の親が参加した。参加者は18歳以上で、保育園に通う子供を持つ親であり、家族の主な購入者だった。参加者中56 人が女性だった。
すべての参加者が、家族での食品の購入、準備、消費の慣行、およびそれらの慣行を実行する際の子供を含むさまざまな家族の役割に関する半構造化インタビューに参加した。参加者のうち58人が 1 週間にわたって「写真引き出し(フォトエリシテーション)」演習に参加し、家族のために必要な食べ物を購入するのを難しくしたり簡単にしたりするものの写真を撮った。参加者のうち22人は「顧客観察調査(ショップアロング)」インタビューにも参加し、研究者を、参加者が選んだ店舗に案内して購入したものを紹介した。
調査結果は、不健康な食品がどこにでもあり、安価で大量に販売されている食品環境が、親に不健康な食品を家族に食べさせるよう駆り立てているという、確立された見解を支持するものだった。けれども、研究チームはさらに、親は子供たちを社会活動に参加させられない場合、たとえば休日に少し離れた「ソフトプレイ」センターに連れていけないようなときに、その代償行為として定期的に子供たちに不健康な食品を買い与えるようだと示唆している。
そのような定期的な行為の例としては、近くのファストフードレストランに家族で行ったり、あるいは家で映画をみたりボードゲームをしながらスナックを食べたりする行為などが挙げられた。
研究チームは、不健康な食品の宣伝やファストフード店を食環境から除去することが必要だとしているが、そのためには、親が家族を幸せにする社会活動を維持できるようにすることが極めて重要だと結論付けている。
出典は『地域と健康』。 (論文要旨)
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