2022.8.8
, EurekAlert より:
TMAO のようなマイクロバイオーム関連の代謝産物が、血糖や一般的な炎症と同様に、心臓病のリスクを媒介する上で、血中コレステロールや血圧よりも重要であるかもしれない、という米国タフツ大学からの研究報告。
研究チームは、65 歳以上の米国人における心血管疾患のリスク因子の長期観察研究である、国立衛生研究所 (NIH) の 心血管健康研究(CHS) からの長期のわたるデータを用いて、アテローム性動脈硬化性心血管疾患 (ASCVD) と動物性食品の関係について解析した。3,931人の対象者は、ベースラインでの平均年齢は73歳で中央値12.5年間追跡された。
解析の結果、肉の摂取量が多いほど ASCVD のリスクが高くなることが明らかになった。1 日あたり約1.1サービングごとにリスクが22%高くなり、このリスク上昇の約10%は、肉に豊富に含まれる栄養素から腸内細菌によって生成される 3 つの代謝産物(TMAO、γ-ブチロベタイン、およびクロトノベタイン)のレベルによって説明された。肉の摂取に関連するASCVDの高いリスクは、血糖値とインスリンのレベルによっても部分的に媒介され、加工肉の場合は血圧や血中コレステロールレベルではなく全身性炎症によって媒介された。
より高いリスクと腸内細菌代謝物との結びつきは、赤肉摂取で認められたが、家禽類、卵、魚では見られなかった。
「興味深いことに、赤身肉と加工肉と心血管疾患との関連を説明するのに役立つ3つの主要な経路(TMAOなどのマイクロバイオーム関連代謝物、血糖値、および一般的な炎症)を特定しました。これらのそれぞれは、血中コレステロールまたは血圧に関連する経路よりも重要であるように見えました」と共主任著者のダリウシュ・モザファリアン教授は述べている。「これは、動物性食品を選択する際に、総脂肪、飽和脂肪、またはコレステロールの違いに注目することはそれほど重要ではなく、これらの食品に含まれる L-カルニチンやヘム鉄の健康効果についての理解がより重要であることを示唆しています。」
出典は『動脈硬化、血栓症と血管生物学』。 (論文要旨)
|