2022.7.25
, EurekAlert より:
ウェアラブル活動量計を用いた調査で、認知機能が正常な人とそうでない人の1日の活動パターンには明らかな差があることがわかった。将来的に高齢者の認知機能低下の早期発見に役立つかもしれない。米ジョンズホプキンス大学の研究。
本研究は、高齢者約600人を対象とした長期にわたるコミュニティベースの健康調査によるもの。対象者にはウェアラブル活動量計を装着してもらい、活動パターンを調べた。すると、正常な認知機能を持つ人と軽度の認知障害またはアルツハイマー病の人ではパターンに有意差があることが発見された。軽度認知障害またはアルツハイマーの人は、起床時間帯の活動が少なく、午後の活動が断片化されているなどの特徴がみられたという。
「私たちは身体活動を認知機能低下を遅らせる潜在的な治療法と考える傾向がありますが、この研究は、認知機能低下が次に身体活動を遅くする可能性があることを気づかせてくれます。そしていつか、より早くより効率的な検査を行うために、そのような変化を監視したり検出することが可能になるかもしれません。アルツハイマーにつながる認知障害を遅らせたり、予防するためにです」と、研究の筆頭著者であるワニガトゥンガ博士は述べている。
軽度認知障害/アルツハイマーの人と認知機能が正常な人の間では、終日の活動測定値全体には大きな違いがないことがわかった。しかし、1日のうち特定の時間帯の活動パターンに焦点を当てると、いくつかの違いが明らかになった。
午前中(午前6時から正午まで)そして午後(正午から午後6時)にはより顕著に、軽度認知障害/アルツハイマー病のグループは、正常なグループと比較して活動の測定値が有意に低かった。最も印象的な発見は、活動の「断片化」(活動をより短い期間に分割すること)が、午後は軽度認知障害/アルツハイマー病の参加者の方が3.4%高かったということだった。
「午後にこの違いを見るのは興味深いことでした。アルツハイマー型認知症の主な症状の1つは、午後に始まる混乱と気分の変化の増加を伴う「日没」現象です。これらの症状に関連する動きを、こういった活動マーカーがとらえているのでしょう」とワニガトゥンガ博士は述べている。
出典は『アルツハイマー病学雑誌』。 (論文要旨)
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