2022.6.28
, EurekAlert より: 
スポーツの練習、友達とのちょっとした追いかけっこや楽器の演奏、読書など、何らかの学校外の活動を行うことで子供の精神的充足度が向上するが、一方でTVやソーシャルメディア、ビデオゲームなどに時間を費やすと低下することが明らかに。南オーストラリア大学の研究。
この研究では、豪州の4〜9年生61,759人を対象とし、放課後(午後3〜6時)の過ごし方と幸福度に関わる精神的状態との関連を調べた。具体的には、幸福、悲しみ、心配、関わり、忍耐力、楽観主義、感情調節、そして人生の満足度などを評価した。
ほとんどの生徒は、平日は週の約4日間テレビを視聴し、1週間のうち約3日間はソーシャルメディアを使用して過ごしていた。
豪州の子どもは7人に1人(約56万人)が精神障害を患っており、10人に1人の子供が健康状態に懸念を抱いているとの統計がある。このことから本研究の筆頭著者であるヴァーガラ博士は、子供たちがスクリーン以外の活動に参加することを奨励する緊急の必要性を、この研究が浮き彫りにしたと述べている。
「今日の不確実な環境では、子供たちが自分の幸福感を育むのを助けることが最も重要です。」とし、スクリーン視聴が心身の健康を損なう可能性を強調している。
「この原因は身体を動かさないからだと思われがちですが、興味深いことに私たちの研究では、宿題や読書といった座りがちな活動も健康にプラスに寄与することが示されているのです。原因は他にあるのです。」
「実際、子供たちが課外活動に参加したとき、元々幸福度の高かった子供も、より幸福度が高まることがわかりました。これが示しているのは、すべての年齢と(社会経済的な)背景の子供たちがテレビ、コンピューター、モバイルデバイスから遠ざける活動に参加するように促す方法を見つけなければならない、ということです。」
本研究はまた、社会経済的背景の異なる子供たちの間の明確な違いを強調している。社会経済的背景の低い子供ほど、スポーツによって幸福度が高まりやすく、スクリーン視聴により幸福度が低くなりやすい傾向がみられたという。
「全体として、メッセージは明確です。ゲーム、テレビの視聴、コンピューターでの遊び、ソーシャルメディアのスクロールは、子供たちの前向きな幸福を築き、維持するのに役立っていません。
特にほとんどの子供が生まれた時からデバイスとともにあるため、確かに難問です。しかし、家族がスクリーンに関連する問題をよりよく認識できれば、スクリーンタイムとその他の学校外の活動とのより良いバランスを見つけることができるかもしれません。」
出典は『BMC小児科』。 (論文要旨)
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