2022.6.16
, EurekAlert より:
高強度インターバルトレーニングが男性の骨格筋のエネルギー代謝と筋肉収縮に不可欠なたんぱく質を増やし、主要な代謝たんぱく質を化学的に変化させるようだ、というデンマーク・コペンハーゲン大学からの研究報告。
研究チームは、男性を対象に、高強度インターバルトレーニング(HIIT)がヒトの骨格筋に与える影響に新たな光を当てた。調査結果は、HIITがエネルギー代謝と筋肉収縮に不可欠な骨格筋のたんぱく質の量を増やし、主要な代謝たんぱく質を化学的に変化させることを示唆している。この結果は、代謝に対するHIITの有益な効果を説明し、運動がこれらのプロセスにどのように影響するかを調査する追加の研究への道を開くかもしれないという。
「運動には、代謝性疾患の予防と治療に役立つ多くの有益な効果があります。これは、骨格筋によるエネルギー使用の変化の結果である可能性があります。私たちは、運動が筋肉のたんぱく質含有量をどのように変化させ、アセチル化と呼ばれる化学反応を介してこれらのたんぱく質の活性をどのように調節するかを理解したかったのです」と筆頭責任著者のモルテン・ホストループ准教授は述べている。
研究チームは、8名の訓練されていない男性参加者を対象に、5週間の高強度サイクリングトレーニングを実施した。参加者は週3回運動し、最大心拍数の90%を超える目標速度で4分間のサイクリングをし、その後2分間休憩した。このパターンをワークアウトごとに4-5回繰り返した。
研究チームは、質量分析と呼ばれる手法を使用して、研究前とトレーニング終了後に参加者の大腿部から収集した組織サンプル中の3,168個のたんぱく質の組成の変化を分析した。彼らはまた、464個のアセチル化たんぱく質の1,263個のリジンアセチル部位に関連する変化を調べた。
実験の結果、細胞内でエネルギーを生成するミトコンドリアを構築するために使用されるたんぱく質、および筋肉収縮に関連するたんぱく質の生成が増加することが示されたという。チームはまた、細胞エネルギーの生成に関与するミトコンドリアのたんぱく質と酵素のアセチル化の増加を同定した。さらに、筋肉の収縮に不可欠な骨格筋のカルシウム感受性を低下させるたんぱく質の量の変化を観察したという。
カルシウム感受性の低下は、アスリートが疲労した後に筋収縮が起こりにくくなる理由を説明するかもしれない。本研究はまた、アセチル化を介したたんぱく質の調節における運動誘発性の変化が代謝の促進に寄与する可能性があることを示唆している。
「最先端のプロテオミクス技術を使用して、私たちの研究は、骨格筋が運動トレーニングにどのように適応するかについての新しい情報を提供します。これには、新しい運動調節たんぱく質とアセチル部位の同定が含まれます」と共責任著者のアトゥール・デシュムク准教授はコメントしている。
出典は『eLife』。 (論文要旨)
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