2022.6.15
, EurekAlert より:
腸皮膚相関の研究により、腸内細菌が食物繊維を発酵させた際に生成される短鎖脂肪酸がアレルギー性皮膚疾患を予防することがわかった。このことはアレルギーの予防・治療法につながる可能性があるという。豪・モナッシュ大学の動物実験から。
腸内細菌叢が免疫系を形成することはよく知られているものの、それが皮膚に与える影響についてはまだ十分に調査されていない。
「私たちのグループや他のグループのこれまでの研究は、腸内だけでなく、肺や心臓血管系などの遠位部位における短鎖脂肪酸の局所的な健康上の利点に焦点を当ててきました」とマースランド教授は述べている。「これは、実際には調査されてこなかった領域である、皮膚にも及ぶのではないかと考えました。」
「人々は食事が皮膚の健康に影響を与える可能性があると推測していますが、これを裏付ける根拠はそれほど多くありません。」
研究者らは、マウスをグループ分けし、発酵性繊維を多く含む食事、または精製された短鎖脂肪酸を与えて比較した。「この治療法は、アレルギー性皮膚炎に対して非常に保護的でした」とマースランド教授。
彼らは(短鎖脂肪酸の一種である)酪酸を同位体でマーキングし、体内での追跡を行った。酪酸は皮膚に到達するのに数分しかかからず、ケラチノサイトの代謝を促進し成熟させて、健康な皮膚バリアに不可欠な、重要な構造成分を生成するはたらきがある。
その結果、皮膚バリアはアレルゲンに対して強固になったという。
「免疫系はこの皮膚バリア機能の二次的なものであることがわかりました。」
皮膚バリアを積極的に改善することは、アレルギーを引き起こす環境曝露や、そしておそらく皮膚を損傷したり皮膚バリアが弱くなったことに起因する他の皮膚疾患に対する保護効果をもたらす可能性がある。短鎖脂肪酸は腸を経由して、経口または直接皮膚にクリームのようにして投与することができると教授は述べている。
今後、これが食物アレルギーや喘息につながる皮膚アレルギー、いわゆる「アトピーマーチ」を発症するリスクのある子供たちに役立つかどうかを検証したいとしている。
出典は『粘膜免疫学』。 (論文要旨)
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