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[病気]  降圧薬の効きめを変える腸内細菌
2022.6.3 , EurekAlert より:   記事の難易度 1
  

腸内細菌が特定の血圧降下剤の有効性を低下させる可能性が世界で初めて示された。高血圧患者のうち20%程度は、薬が効きにくい理由のひとつであるかもしれない。米トレド大学の研究。

「高血圧は通常、無症状であるため、よくサイレントキラーと呼ばれます。しかし、高血圧で降圧薬を服用しているにもかかわらず、高血圧をコントロールできない人はたくさんいるのです」と、論文の筆頭著者であるヤン准教授は述べている。「これに対処することは、臨床的に非常に重要です。」

高血圧は、米国の主要死因である心臓病と脳卒中の主な危険因子である。また、米国で最も一般的な慢性疾患の1つもであり、現在のガイドラインでは、米国の成人のほぼ半数が高血圧とされる。

高血圧の人の中で、推定20%が治療抵抗性高血圧と呼ばれる状態だ。これは積極的な治療をしても血圧が高いままであることを意味している。

「これらの患者に対して医師が実際にできることは、薬を追加・変更したり、用量を増やすことで、効果のある方法を見つけられることを期待することです」とヤン准教授は述べている。「これまで、治療抵抗性高血圧のメカニズムが何であるかを明確に示すことはできませんでした。私たちの研究は、治療抵抗性高血圧を効果的に克服するための新しい方法を特定する第一歩を提供する可能性があります。」

近年、研究者らは、血圧と腸内細菌の組成との関連をより熱心に調べており、食事や運動による高血圧の潜在的な原因を解明するのに役立っている。しかし、今回の研究は、腸内細菌が降圧薬自体に与える影響を調べた初の研究となる。

この研究ではラットを用いた実験により、腸内細菌が高用量の抗生物質によって枯渇させた群、正常な腸内細菌を持つ群における降圧薬キナプリルの有効性を比較した。

すると、抗生物質の投与群の方がキナプリルに対する反応がはるかに高いことを発見した。また腸内細菌組成の分析により、この現象の原因はコプロコッカス属の細菌よるもののであることが特定された。さらなる実験から、この属の主要な細菌種であるコプロコッカスがキナプリルとラミプリルを分解し、血圧低下作用を損なう可能性のあることが証明された。

今回の発見が人間に適用できるか―この疑問に対する1つの興味深い症例研究がある。

2015年に発表された報告では、治療抵抗性高血圧の罹患期間の長い女性が、術後感染症のために抗生物質を服用していた2週間、降圧薬を服用することなく血圧をコントロールしたと説明している。患者は、抗生物質を止めてから再び治療抵抗性高血圧となるまでの6か月間、1種の薬剤のみで制御できていた。

「これは1つの報告にすぎず、さらに調査が必要です。しかし、これは腸内細菌が血圧薬の有効性を調節する上で非常に現実的かつ重要な役割を果たす可能性を示唆しています」とヤン准教授。

抗生物質の長期使用は、治療抵抗性高血圧に対処するための現実的な戦略とはいえないが、ヤン准教授は、プロバイオティクス、プレバイオティクス、食生活の変更を通じて、マイクロバイオータを変えられる人はいるはずだ、などと述べている。

出典は『高血圧』。 (論文要旨)      
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