2022.4.11
, EurekAlert より:
身体活動によって、インターロイキン-6(IL-6)が血中に放出され、損傷した細胞のDNA修復を助けるかもしれない、という英国ニューカッスル大学からの研究報告。
「運動が長期間にわたって毎週複数回繰り返されると、血流に放出されたがんと戦う物質(IL-6など)は異常な細胞と相互作用し、それらのDNAを修復し、がんへの成長を抑える可能性があります」と筆頭著者のサミュエル・オレンジ博士は語っている。
この小規模な研究で、研究チームは、50-80歳の16人の男性を対象とした。これらの男性はすべて、過体重や肥満、運動をしないといった生活習慣上のリスク因子を持っていた。
最初の採血後、参加者は中程度の強度で合計30分間インドアバイクでサイクリングし、終了後すぐに2回目の採血をした。対照として、別の日に、研究チームは参加者が休息の前後に採血した。
両者の血液を比較した結果、運動が血液中のIL-6を上昇させたことが明らかになった。
研究チームは、実験室で大腸がん細胞に、血液を添加し、48時間にわたって細胞増殖を監視した。その結果、運動直後に採取された血液は、休息時に採取された血液と比較して、がん細胞の増殖を遅らせることを確認したという。
さらに、運動後の血液は、がんの増殖を抑えるだけでなく、DNA損傷の程度を低下させ、身体活動が細胞を修復して遺伝的に安定した細胞とする可能性を示唆したという。
「これらのメカニズムをよりよく理解することは、がん予防のためのより正確な運動ガイドラインを開発するのに役立つ可能性があります。また、運動による健康上の利点のいくつかを模倣する薬物治療の開発にも役立つ可能性があります」とオレンジ博士はコメントしている。
出典は『国際がん学雑誌』。 (論文要旨)
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