2022.4.7
, EurekAlert より:
公園やその他の野外活動にアクセスできる歩き易い地域に住む人々は、より活動的で、糖尿病や肥満になる可能性が低くなるようだ、というカナダ・トロント大学からの研究報告。
米国の成人のほぼ半数が肥満であり、米国の人口の11パーセント以上が糖尿病を患っている。研究者と政策立案者は、これらの二重の流行に対処するために、人口レベルで健康的なライフスタイルを促進する効果的な方法を探している。
構築された環境とは、人々に生活、仕事、レクリエーションの空間を提供する人工の構造物である。この環境には、建物、近隣、公園、自転車道、レストラン、店舗、道路、公共交通機関が含まれる。人間の健康は、私たちが構築する物理的環境の影響を受ける。
「構築された環境は、歩行、自転車といったアクティブな交通手段の促進により、身体活動レベルに影響を及ぼすことができます」と主任研究者のジリアン・ブース医師は語っている。「地元住民の交通手段の選択を変えることは、構造化された運動プログラムなしで、より多くの人々が日常生活の中で身体活動に参加できることを意味するかもしれません。」
研究チームは、構築された環境とその公衆衛生への影響に関するいくつかの研究をレビューし、歩きやすく、活動しやすい都市と近隣が、肥満と糖尿病のリスクの低下に関連していることを発見した。ある32,767人を対象とした大規模な人口ベースの研究で、歩き易くない地域に住む成人の肥満の有病率は53%だったのに対して、歩き易い地域に住む成人では43%だった。
血糖値が正常な110万人の成人を対象とした研究では、8年間の追跡調査の後、歩行が困難な地域に住む人々の糖尿病前症の発症率が20%高かったことがわかった。160万人の成人を対象とした別の研究では、歩き易くない地域の人々が糖尿病を発症する可能性は、歩き易い地域の30%から50%高いことがわかった。カナダの人口ベースの研究では、歩き難い近隣から歩き易い近隣に移動すると、高血圧と診断される可能性が54%低くなった。
研究チームはまた、大気汚染とファストフード店密集が糖尿病のリスク因子であり、歩き易い近隣に住むことの利益を大幅に減らす可能性があることを指摘している。
「私たちは、より健康的な食生活とアクティブな交通手段に参加する機会を促進する政策を必要としています」とブース医師は語っている。「安全で効果的な公共交通機関、サイクリングコース、歩道が整備された近隣環境のデザインは、交通関連の大気汚染を減らすでしょう。」
出典は『内分泌レビュー』。 (論文要旨)
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