2022.4.6
, EurekAlert より:
米国のマウントサイナイ医科大学とカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者チームの調査結果によると、40歳以降にアルコールを乱用し始めた患者は、前頭側頭型認知症などの根本的な神経学的状態の結果である可能性があるという。
研究チームは、1999年から2017年の間に診断された、行動型前頭側頭型認知症(bvFTD)、アルツハイマー型認知症、または意味性亜型原発性進行性失語症の臨床診断を受けた患者の横断的後ろ向き研究を実施した。
スクリーニングされた1,518人の参加者のうち、遅発性のアルコール乱用は2.2%に影響を及ぼし、高齢者全体の1.7%よりも高かった。研究チームは、bvFTDの患者では、アルツハイマー型認知症の患者よりも遅発性のアルコール乱用が有意に多いことを発見したが、3つの認知症グループ間で生涯にわたるアルコール乱用の頻度に差はみられなかった。また、最初の症状としてのアルコール乱用が全患者の1.4%で発生し、アルツハイマー型認知症の患者よりもbvFTDの患者で5倍頻繁に発生することを発見した。この結果は、遅発性アルコール乱用がアルツハイマー型認知症よりもbvFTDではるかに頻繁であるだけでなく、遅発性と生涯にわたるアルコール乱用の根底にある生物学的メカニズムが異なる可能性を示唆している。
「高齢でアルコール乱用し始めた患者は通常、精神科医、プライマリケア提供者、リハビリテーションの専門家に発見されることが多いため、これらの専門家は、神経変性疾患が発症の根底にある可能性があることを認識しておく必要があります」と主任研究者のジョルジュ・ナーサン医師は語っている。
出典は『アルツハイマー病学雑誌』。 (論文要旨)
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