2022.3.30
, EurekAlert より:
独りのときと他者と一緒のとき、我々はどちらの方がより楽しく時間を過ごせるだろうか。イスラエルのバル=イラン大学の研究チームは、他者との社会的相互作用が我々の幸福に重要な役割を担っていることを発見した。
安定した社会的関係は幸福を助長する。けれども、日常の社会的相互作用(または一人で過ごす時間)が瞬間的な幸福感に及ぼす影響はよくわかっていない。
今回の研究は、他者と一緒にいる(または一人でいる)という我々の選択の感覚が、これらの文脈で我々の気持ちを形作る中心的な要因であることを示唆している。重要なことは、他者との経験はより激しいものなので、「選択」が、一人よりも「他者と」の場合により重要であることが示唆されたことだという。
研究チームは、155人の学生を対象に経験サンプリング研究を実施した。各参加者は、エピソード的な社会的経験について10日間連続して1日3回報告した。参加者は、「エピソード」ごとに、自分の社会状況(一人/他者と)、その状況が選択によるものが否か、および自分の感情(ポジティブまたはネガティブな感情、満足感、意義、コントロール感)を報告した。合計で4,200を超えるエピソードレポートが受信された。参加者は60%の時間を他者と共にあり、40%の時間は一人で過ごした。状況の64%が選択の結果であり、36%は選択ではなかった。つまり、学生は、日中の約3分の1を選択でない社会的(または単独の)状況で過ごしたことを示している。
参加者は、一人でいるよりも、他者と一緒にいることに大きな満足(幸せ)を感じていた。けれども、他者と一緒にいる経験には大きな違いがあったという。選択によって他者と一緒にいるときは幸福度が最大だったが、選択でなく他者と一緒にいるときは幸福度が最低だった。一人でいることによる幸福への影響も、選択か否かで異なったが、その程度は低かった。
以前の研究で、研究チームは、社会的状況が感情を強める一方で、一人でいることはより穏やかな感情とよりリラックスした全体的な経験に関連していることを発見した。「現在の研究は、研究室の外での実生活での人々の経験について学び、重要な緩和要因として選択要素に取り組むことによって、これらの結論を拡張しています」と研究者は説明している。「どちらの場合でも、社会的な経験のほうが(一人よりも)、良くも悪くも、より激しいのです。」
「選択ではなく他者と一緒にいるよりも、選択によって独りであるほうが気分はよくなりますが、選択によって他者と一緒にいることは、いつでも幸福感の向上に最も貢献するのです」と研究者はコメントしている。
出典は『幸福感研究雑誌』。 (論文要旨)
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