2022.3.25
, EurekAlert より:
ヒトは1週間に5gのマイクロおよびナノプラスチック粒子を摂取しているようだ、という墺ウィーン医科大学からの研究報告。これはクレジットカードの重量に相当する量であるという。
このトピックに関する医学研究は、マイクロおよびナノプラスチック粒子(MNP)が組織内に見られる消化器系に集中している。実験的研究では、消化管を通過する摂取されたMNPが腸内細菌叢の組成に変化をもたらすことを示している。ウィーン医科大学の研究チームは、そのような変化は、糖尿病、肥満、慢性肝疾患などの代謝性疾患の発症に関連していることを報告している。
研究者らは、腸内細菌叢への影響に加えて、腸組織へのMNPの取り込みを促進する特定の分子メカニズムについても説明している。特殊な分析を使用して、消化管のMNPが特定の物理化学的条件下で組織により多く取り込まれ、局所的な炎症および免疫応答に関与するメカニズムを活性化可能であることが示唆された。特にナノプラスチックは、発がんに決定的に関与する生化学的プロセスに関連しているという。
ナノプラスチックはサイズが0.001ミリメートル未満であると定義され、マイクロプラスチックは0.001-5ミリメートルで、肉眼でもある程度見ることができる。MNPは、他の発生源の中でもとりわけ、包装廃棄物から食物連鎖に入り込む。プラスチック粒子は、特に海洋生物や海塩などの食物を介して体内に輸送されるだけでなく、摂水もその役割を果たしている。ある調査によると、ペットボトルから推奨される1日1.5-2リットルの水を飲む人は、この方法だけで年間約90,000個のプラスチック粒子を摂取する。水道水を選択する人は、地理的な場所にもよるが、摂取量を40,000個のプラスチック粒子に減らすことができるという。研究者らはまた、PET(ポリエチレンテレフタレート)ボトルから浸出された異種ホルモンによるミネラルウォーターの広範囲にわたる汚染を実証した。
プラスチック粒子の潜在的な健康への悪影響は、慢性疾患の負担を持つ人々に特に影響を与える可能性がある、と主任研究者のルーカス・ケナーは述べている。「健康な腸は健康上のリスクを回避する可能性が高いです。しかし、慢性疾患や負のストレスさえ存在するような胃腸管の局所的な変化は、MNPの有害な影響を受けやすくする可能性があるのです。」
出典は『曝露と健康』。 (論文要旨)
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