2022.3.23
, EurekAlert より: 
ビタミンDは、エンドサイトーシスによって胎盤に取り込まれ、胎児に送達されるかもしれない、という英国サウサンプトン大学からの研究報告。
「腎臓の研究では、ビタミンDの取り込みにおける受動拡散の役割が疑問視されています。代わりに、この取り込みは主にビタミンDのエンドサイトーシスによって促進され、ビタミンがアルブミンに結合して臓器組織に導入されることが示されています」と筆頭著者のクレア・シムナー博士は説明する。
研究チームは、満期産児の分娩直後に収集されたヒト胎盤を含む灌流モデルと、胎盤切片培養を使用して、その挙動を検討した。これらの方法は、ビタミンDの胎盤通過に関する先行研究の細胞モデルアプローチとは対照的であるという。
胎盤のビタミンD取り込みメカニズムを同定するために、研究チームは新鮮なヒト胎盤切片をアルブミンと共にビタミンDと8時間インキュベートした。次に、定量的rtPCRと呼ばれる手法を使用して切片の遺伝子発現を分析した。ビタミンDのみとインキュベートされた切片と比較して、この切片では体内のビタミンD量の制御に関与するCYP24A1遺伝子の発現の有意な増加が認められた。これは、アルブミンがビタミンDの取り込みに関与する可能性があることを示唆しているという。
「これらの研究結果は、以前に腎臓で見られたように、エンドサイトーシスがヒト胎盤へのビタミンDの取り込みに重要な役割を果たす可能性があることを示しています」と共主任著者のジェーン・クリール博士は述べている。
さらに、チームは、ビタミンDへの曝露が、胎盤によって発現されるメッセンジャーRNA分子(トランスクリプトーム)およびたんぱく質(プロテオーム)のフルセットに急速な影響を与えることを実証した。彼らの結果は、胎盤の根底にあるエピジェネティック・ランドスケープ(後成的風景)、つまり遺伝子と環境の間の相互作用が、ビタミンD処理へのこの転写反応を命令するのを助けることを明らかにした。
「これは、胎盤自体に広範な影響を及ぼす、ヒト胎盤によるビタミンDの活発な移動と代謝を実証する最初の定量的研究です」とクレア博士は結論付けている。「私たちのデータは満期産の胎盤からのみ得られているため、私たちの発見が妊娠の初期段階とどのように関連しているかを判断するには、追加の研究が必要です。」
出典は『eLife』。 (論文要旨)
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