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[病気]  牛乳は多発性硬化症の症状を悪化させる可能性がある?
2022.3.10 , EurekAlert より:   記事の難易度 1
  

牛乳たんぱく質は、マウスでニューロンに損傷を与える自己免疫反応を引き起こすようだ、という独ボン大学からの研究報告。

研究のきっかけは多発性硬化症(MS)患者からの訴えだったという。「ミルク、カッテージチーズ、ヨーグルトを摂取すると気分が悪くなるという患者の声を何度も耳にします」とボン大学病院のステファニー・キュルテン教授は説明している。「私たちはこの相関関係の原因に興味を持っています。」

キュルテン教授は、2018年にエルランゲン-ニュルンベルク大学で研究を開始した。1年半前、彼女はボンに引っ越し、そこで研究グループと一緒に仕事を続けた。「私たちは牛乳由来の異なるたんぱく質をマウスに注射しました」と彼女は言う。「私たちは、マウスが病気の症状を起こす成分があるかどうかを知りたかったのです。」

そして、研究チームは、確かに彼らが探しているものを見つけたという:動物に効果増強剤と一緒に牛乳成分カゼインを投与したとき、マウスは神経障害を発症した。電子顕微鏡検査は、神経線維の周りの絶縁層ミエリンへの損傷を示した。この脂肪のような物質はショートを防ぎ、さらに刺激伝導を大幅に加速する。

多発性硬化症では、体の免疫系がミエリン鞘を破壊する。その結果は、知覚異常や視力の問題から運動障害にまで及ぶ。極端な場合、患者は車椅子が必要となる。マウスのミエリン鞘もまた大きく穴が開いており-明らかにカゼインの投与によって引き起こされものであった。「その理由は、MS患者に見られるのと同様に、誤った方向に向けられた免疫応答であると思われました」と筆頭著者のリッティカ・チュンダー博士は説明している。「体の防御システムは実際にはカゼインを攻撃しますが、その過程でミエリンの形成に関与するたんぱく質も破壊します。」

このような交差反応性は、2つの分子が少なくとも部分的に非常に類似している場合に発生する可能性があるという。免疫システムは、ある意味、それらを互いに間違えるのである。「カゼインを、ミエリン産生に重要なさまざまな分子と比較しました」とチュンダー博士は言う。「その過程で、MAGと呼ばれるたんぱく質を見つけました。いくつかの点でカゼインと非常によく似ているため、実験動物ではカゼインに対する抗体もMAGに対して活性がありました。」

これは、カゼインを投与されたマウスでは、体自身の防御がMAGに対しても向けられ、ミエリンを不安定化させたことを意味する。だが、この結果はどの程度MSの人々に適用することができるのだろうか?

この質問に答えるために、研究者らはマウスのカゼイン抗体をヒトの脳組織に添加した。それは確かに脳のミエリン産生に関与する細胞に蓄積した。

白血球の一種であるB細胞は、抗体産生に関与している。この研究では、MS患者の血液中のB細胞がカゼインに特に強く反応することがわかった。おそらく、影響を受けた個人は、牛乳を消費した結果として、ある時点でカゼインに対するアレルギーを発症した。そのため彼らが新鮮な乳製品を消費するとすぐに、免疫系は大量のカゼイン抗体を作り出す。MAGとの交差反応性により、これらは神経線維の周りのミエリン鞘にも損傷を与えるのであろう。

ただし、これは牛乳カゼインにアレルギーのある多発性硬化症患者にのみ影響する。「現在、影響を受けた個人が対応する抗体を持っているかどうかを確認できるセルフテストを開発しています」とキュルテン教授は語っている。「少なくともこのサブグループは、ミルク、ヨーグルト、またはカッテージチーズの摂取を控えるべきです。」

出典は『国立科学アカデミー論文集』。 (論文要旨)      
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