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[病気]  一部の腸内微生物が隣人のゾンビウイルスをどのように目覚めさせるか
2022.3.1 , EurekAlert より:   記事の難易度 1
  

一部の腸内細菌は不気味なスーパーパワーを持っており、他の微生物中に潜む休眠中のウイルスを生き返らせることができるのだという。米国ハワードヒューズ医学研究所の報告。

このウイルスの目覚めは、ウイルスを運ぶ細胞を破壊する本格的な感染症を解き放つものだという。

微生物はしばしば、腸の窮屈な住処の中で互いに攻撃するために有害な化合物を生成する。しかし、これらの化学兵器の中で、コリバクチンは珍しいように見える、と化学生物学者であるエミリー・バルスクス博士は言う。「それは、通常の細菌毒素と異なり、標的生物を直接殺すことはありません。」代わりに、コリバクチンは微生物細胞を微調整し、一部の細菌のゲノムに隠れている潜在的で致命的なウイルスを活性化する。

科学者は、コリバクチンが人間の細胞に大混乱をもたらす可能性があることを何年も前から知っていた。バルスクス博士や他の多くの研究者によると、この化合物はDNAに損傷を与え、大腸がんを引き起こす可能性があることが示されている。しかし、この化合物と病気の関係を確立することは極めて困難であるという。

コリバクチンは、微生物が作ると思われる多くの一時的化合物の1つである。宇宙の暗黒物質の目に見えない粒子のように、この「化学的暗黒物質」は研究するための創造的な手段を必要とする。腸の微生物化学の探求の一環として、バルスクス博士らはこれらのとらえどころのない分子を調べるために間接的なアプローチを使用している。

博士らは早い段階で、コリバクチン生産菌を非生産菌に曝露してもほとんど効果がないことを発見した。これは、分子自体が特に致命的ではないことを示唆している。研究チームは、大きくて不安定な分子であるコリバクチンが細菌細胞に侵入してDNAに損傷を与える可能性があるかどうかの確信が持てなかったという。

次に彼らは、第三者(細菌に感染するウイルス)が関与しているのではないかと考えた。これらのウイルスは、ほんの少しの遺伝情報以上のものではないので、細菌のDNAに侵入し静かに待機する可能性がある。それがなにかの引き金によって地雷のように細胞を爆破する感染症を引き起こすのである。

研究チームは、そのような潜伏ウイルスを運ぶ細菌と一緒にコリバクチン生産菌を培養すると、ウイルス粒子の数が急上昇し、多くのウイルス含有細菌の成長が低下することを発見した。それは、この分子が活発な細胞を殺す感染症の急増を引き起こしたことを示唆するものだった。コリバクチンが確かに細菌に侵入し、DNAに損傷を与えることを研究チームは示した。その損傷が、ウイルスを覚醒させる目覚ましを鳴らすのである。

多くの微生物は、コリバクチンから身を守るための装備があるようにみえるという。研究チームは、多種多様な細菌で、この化合物を中和するたんぱく質をコードする耐性遺伝子を同定している。

コリバクチンには明らかに危険な側面があるが、それは単なる致命的な武器以上のものとして役立つかもしれない、とバルスクス博士は語っている。たとえば、DNA損傷と目覚めたウイルスの両方が、細菌に死ではなく遺伝的変化を引き起こし、コリバクチン生産菌に利益をもたらす可能性がある。

研究チームの発見は、がんが、コリバクチン産生菌が行う別のことで起きる二次的被害である可能性があることを示唆するものだという。「私たちは常に、細菌がこの毒素を他の細菌を標的にするために何らかの方法で作ったのではないかと疑っていました」とバルスクス博士は言う。「彼らが人間の細胞を標的にするためにそれを獲得したというのは、進化の観点から意味をなしませんでした。」

現在バルスクス博士らは、この化合物が腸内の微生物のコミュニティをどのように変化させるかを調査することを計画しているという。「がんを予防するための鍵は、コリバクチンが微生物群に及ぼす影響と、その産生がどのように制御されているかを理解することかもしれません」と彼女はコメントしている。

出典は『ネイチャー』。 (論文要旨)      
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