2022.2.22
, EurekAlert より:
「プレハブ(プレハビリテーション)」運動が、食道がん患者に与えられる化学療法の有効性を高め、手術前に腫瘍を縮小させる可能性があるようだ、という英国ガイズアンドセントトーマス病院などからの研究報告。
腫瘍の収縮は、運動していない人よりも運動している人の方が大きかった、と比較試験データは示しているという。
調査結果がさらに大規模な研究で確認された場合、手術が必要な患者だけでなく、がんの治療を開始しようとしているすべての患者の標準治療とするために、「プレハブ」運動の議論を強化する必要があると研究チームは述べている。
「プレハブ」と呼ばれるこのリハビリテーション運動は、手術やその他の医学的介入に備えて、筋力、安定性、バランス、可動性を高めるために使用できるという。
研究チームは、食道がん患者において、プレハブが術前化学療法(正式にはネオアジュバント化学療法として知られている)の影響を高める可能性があるかどうかを調べたいと考えた。
ネオアジュバント化学療法は、腫瘍を縮小し、腫瘍が他の場所に広がるのを防ぐのを助けることにより、このタイプのがん患者の生存率を改善することができる。これは「ダウンステージング」として知られる効果である。
しかし、術前化学療法は体に多大な損害を与え、体力を大きく低下させ、骨格筋量と機能の喪失(サルコペニア)を早める可能性があり、それがその後の治療選択肢を制限し、潜在的に生存を制限する可能性があると研究チームは述べている。
そこで研究チームは、手術可能な食道がん患者に、構造化中強度運動プログラム(有酸素および筋力トレーニング(「プレハブ」)プラス術前化学療法)、または従来のベストプラクティス(生活習慣アドバイス)プラス術前化学療法、のいずれかを提供した。
運動プログラムは、手術の前日まで続くように設計されており(平均約5か月)、週に150分の中強度身体活動と2回の筋力セッションで構成されていた。各患者は、手術前に4サイクルの化学療法を受けた。
化学療法中の運動プログラムの影響を評価するために、治療開始前、終了後1週間以内、および手術後1、3、6日後に血液検体を採取し、炎症のレベルやその他の主要な免疫生化学指標を確認した。
各患者はまた、化学療法の前後の骨格筋量と内臓脂肪および腫瘍サイズの変化を評価するために画像診断を受けた。
全部で、21人の患者がプレハブ運動に割り当てられ、19人が従来のベストプラクティスに割り当てられた。
すべての臨床データの分析は、術前化学療法後、運動群が従来治療群よりも腫瘍縮小率が高かった:75%対35%。
また、組織サンプルと影響を受けたリンパ節の数に基づいて、運動群でより多くの患者ががんをダウンステージした:43%対16%。
本臨床試験では、比較的少数の患者しか含まれず、ランダム化されていないので、結果を確認するためにさらに大規模な研究が必要であると研究チームは注意喚起している。
出典は『英国スポーツ医学雑誌』。 (論文要旨)
|