2022.2.21
, EurekAlert より:
高齢者(70-75歳)の毎日20分の中-高強度運動は、その後(80歳以後)の心不全を含む主要な心臓病を予防するようだ、という伊パドヴァ大学などからの研究報告。
本調査結果は、運動に関しては「遅くてもやらないより良い」という格言を補強するが、より早い年代からの方がなお良い、と関連エディトリアルは述べている。
身体活動が、性別や民族に関係なく、心血管疾患リスクの低下、寿命の延長に関連し、努力に見合った利益が得られることは周知の事実だとしても、高齢期の運動が心臓病や脳卒中を防ぐのに役立つかどうかに絞り込んで調べた研究は比較的少ないという。
この知識ギャップを埋めるために、研究チームは、3,099人の高齢イタリア人(65歳以上)の研究であるProgetto Veneto Anziani(ProVA)からのデータを利用した。
詳細な病歴、身体検査、スキャン、および一連の血液検査を含む初期評価が1995年から1997年の間に実施され、4年後と7年後にさらに2回の評価が行われた。
研究開始時に、女性は男性よりも4つ以上の慢性疾患を罹患している割合が高かった。
参加者は、各時点での身体活動レベルに関する質問票に記入した。中程度身体活動にはウォーキング、ボウルズ、釣りが含まれ、高強度身体活動にはガーデニング、ジムでのトレーニング、サイクリング、ダンス、水泳が含まれた。
身体活動が1日20分以上加算された人は活動的であると定義された。これより少ない時間を記録した人は、非アクティブとして定義された。男性は女性よりも身体的に活動的である可能性が高かった。
身体活動パターンの変化は次のように定義された。安定-低(非アクティブ-非アクティブ)、高-減少(アクティブ-非アクティブ)、低-増加(非アクティブ-アクティブ); 安定-高(アクティブ-アクティブ)。
その後、すべての参加者の健康状態は、2018年12月末までの退院記録と死亡診断書へのリンクを通じて追跡された。最終分析には、完全なデータを持つ2,754人の参加者が含まれ、そのうち1,398人が女性(60%)だった。
追跡期間中に、心臓病、心不全、脳卒中の1,037の新しい診断が行われた。
解析の結果、身体活動レベルの増加、および長期にわたるアクティブなライフスタイルの維持は、男性と女性の両方で心血管疾患と死亡のリスクの低下と関連していた。
リスクの最大の低下は、後期高齢期の冠状動脈性心臓病と心不全の新しい症例で観察された。身体活動と脳卒中の間に有意な関連は観察されなかった。
参加者の多くは、安定した身体活動パターンをもっており、安定-高身体活動の者は、安定-低身体活動の者に比べて、心血管疾患のリスクが52%有意に低かった。
最大の効果は70歳での身体活動から得られ、リスクは75歳でわずかに低く、80-85歳では低下はみられなかった。早い段階での身体活動の改善が最も影響を及ぼすようだ、と研究者は推察している。
運動時間のJ字型の曲線も観察され、心臓病と心不全の急激な減少は、毎日20-40分の中-高強度身体活動に関連していた。
「最大の心血管系の利益を達成するには、1日あたり少なくとも20分間の中程度から激しい身体活動が推奨されるべきです」と研究チームは結論付けた。
出典は『心臓』。 (論文要旨)
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