2022.2.18
, EurekAlert より: 
睡眠不足で激しい運動をすると、心臓損傷の指標であるトロポニンがわずかに上昇した、というスウェーデン・ウプサラ大学からのパイロット研究。
研究チームは、定期的に7-9時間の睡眠をしていた普通体重の16名の若年男性を対象に実験を行った。参加者は睡眠検査室で監視され、そこで食事と活動のスケジュールが標準化された。2つのセッションのうちの1つでは、参加者は3夜続けて、通常の睡眠時間を得た。もう1つでは、参加者は3夜続けて、通常睡眠の半分の時間、起きていた。毎回、夕方と朝に血液検体が採取された。両方の睡眠介入後の最終日に、30分間の激しいエアロバイクセッションの前後に血液検体を採取された。
研究チームは、血液中の2つのバイオマーカーを測定した。NT-proBNPは心臓への負荷を反映する。トロポニンは、心臓損傷のマーカーとして一般的に使用されている。
結果は、NT-proBNPのレベルが運動に反応して増加したことを示したが、この増加は睡眠の量によって異ならなかった。トロポニンの血中濃度もトレーニング後に増加したが、こちらは、通常睡眠後と比較して、半夜の睡眠制限後で、ほぼ40%高かったという。
「重要なポイントは、トレーニング前のどの時点でも、睡眠制限に応じてトロポニンとNT-proBNPのレベルが上昇しなかったことです。代わりに、睡眠不足により、運動負荷に対する閾値が低下し、激しい運動によって心筋細胞に巣損傷をもたらしやすくなる可能性があります」と主任研究者のジョナサン・チェダーネス准教授は述べている。
「現在、睡眠が少なすぎることで、定期的な運動が心臓に障害をもたらすことを示唆するエビデンスはありません。充分な睡眠を確保することで運動のプラスの影響をさらに高めることができると考えるのが良いでしょう。」
出典は『分子代謝』。 (論文要旨)
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