2022.2.1
, EurekAlert より:
肉食が人類初期の進化にとって重要や役割をはたしていたとは言えないかもしれない、という米国ジョージワシントン大学からの研究報告。
大きな脳などの典型的な人間の特徴は、200万年近く前にホモ・エレクトスに最初に現れた。人間のような特性への進化的移行は、しばしば、より多くの肉の消費を伴う主要な食事の変化に関連付けられてきた。
けれども、研究チームは、初期の人類の進化における肉食の優位性に疑問を投げかける研究結果を発表した。肉食の考古学的証拠は、ホモ・エレクトスの出現後、劇的に増加するが、研究チームは、この増加が、この時代への研究的関心が高いことで主に説明でき、「肉が我々を人間にした」という仮説を支持する証拠を事実上歪めていると主張している。
「何世代にもわたって古人類学者は、オルドヴァイ渓谷のような保存状態の良い場所に行き、初期の人間が肉を食べているという息を呑むような直接的な証拠を探し、そして発見した。それが、200万年前に肉を食べることが爆発的に増えたというこの見方をさらに推し進めている」と筆頭研究者のW・アンドリュー・バー助教授は語っている。「けれども、東アフリカの多数のサイトからのデータを定量的に合成してこの仮説を検証すると、本研究で行ったように、『肉が我々を人間にした』ストーリーがほぐれ始める。」
バー助教授ら研究チームは、260万年から120万年前の59のサイトレベルを含む、東アフリカの9つの主要な研究分野から公開されたデータをまとめた。いくつかの測定基準を使用して、ヒト族の肉食の痕跡を追跡した。すなわち、石器で切られた跡(カットマーク)のある動物の骨が保存されている動物考古学的サイトの数、サイト全体からのカットマーク付きの骨の総数、および別々に報告された層序レベルの数である。
その結果、時間経過に伴う発掘努力の変動を考慮すると、ホモ・エレクトスの出現後に肉食の証拠の相対量は持続的に増加していないことが明らかになったという。ホモ・エレクトスの出現後、改変された骨の存在量と動物考古学的なサイトとレベルのすべてが明らかに増加したが、その増加は発掘努力の対応する増加が反映したものであり、集中的な発掘が(ヒトの行動変化ではなく)原因である可能性があることを示唆している。
「私は20年以上にわたってカットマークの付いた化石を発掘して研究してきましたが、それでも私たちの発見は大きな驚きでした」と共同研究者のプリアナ・ポビナーは語っている。「この研究は、動物考古学の記録が最も初期の先史時代の肉食について私たちに何を教えてくれるかについての私たちの理解を変えます。また、過去についての新しい証拠を発見し分析し続けながらも、進化について大きな質問をし続けることの重要性を示しています。」
研究チームは、今後、現代の人間に関連する特定の解剖学的および行動的特徴が出現した理由について、別の説明が必要になることを強調している。
「この研究とその調査結果は、古人類学のコミュニティだけでなく、この肉を食べる物語のいくつかのバージョンに基づいてダイエットの決定を現在行っているすべての人々にとって興味深いものになると思います」とバー助教授は述べている。「私たちの研究は、大量の肉を食べることが私たちの初期の祖先の進化を引き起こしたという考えを弱体化させます。」
出典は『国立科学アカデミー論文集』。 (論文要旨)
|