2022.1.28
, EurekAlert より:
2つの血液たんぱく質が我々の人生の長さと健康に影響を与えるようだ、という英国エディンバラ大学からの研究報告。
研究チームは、6つの大規模な遺伝子研究の結果を人間の加齢に組み合わせた。それぞれに数十万人の遺伝子情報が含まれているという。
検討された857のたんぱく質の中で、研究チームはさまざまな加齢対策にわたって重大な悪影響を及ぼす2つのたんぱく質を同定した。
これらのたんぱく質のレベルを上昇させるDNAを受け継いだ人々は、より虚弱であり、自己評価の健康状態が悪く、特別に長生きする可能性が、そうでない人々よりも低かった。
第1のたんぱく質、アポリポたんぱく質(a)(LPA)は肝臓で作られ、血液凝固に役割を果たすと考えられている。高レベルのLPAは、動脈が脂肪性物質で目詰まりを起こす状態であるアテローム性動脈硬化症のリスクを高める可能性がある。心臓病と脳卒中が起こりうる転帰である。
2番目のたんぱく質、血管細胞接着分子1(VCAM1)は、主に内皮細胞の表面に見られる。このたんぱく質は、血管の拡張と収縮を制御し、血液凝固と免疫応答に機能をもつ。VCAM1のレベルは、感染を検出したことを示す信号を体が送信すると増加し、VCAM1は、このたんぱく質レベルが本来低い人でみられるように、免疫細胞が内皮層を通過できるようにする。
研究チームは、LPAとVCAM1のレベルを下げることによって病気を治療するために使用される薬は、人生の質と寿命を改善するという追加の利益をもたらす可能性があると述べている。
そのような例の1つとして、心臓病のリスクを減らすためにLPAを下げる薬をテストしている臨床試験がある。現在、VCAM1に関する臨床試験はないが、マウスでの研究により、このたんぱく質のレベルを低下させる抗体が高齢期の認知を改善することが報告されているという。
「これらのたんぱく質を低減する薬物によって、平均的な人が、遺伝的に低LPAおよび低VCAM1レベルの人のように健康で長生きできる可能性があります」と筆頭著者のポール・トリマースは述べている。
出典は『ネイチャー加齢』。 (論文要旨)
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