2022.1.26
, EurekAlert より:
コーヒーは腸の動きを助けたり、善玉菌を増やすかも――消化における、コーヒーを飲むことの利点、そして胆石や特定の肝疾患に対する保護効果について、パリ・デカルト大学ネッケル小児病院がレビューを発表した。
【結果のポイント】 ●コーヒーの摂取は消化作用を刺激し、大腸の動きを助ける ●コーヒーは腸内細菌叢を変化させ、「善玉菌」の数を増やす可能性 ●特定の肝疾患に対するコーヒーの保護効果および胆石のリスク低減を確認
194件の研究例を精査した今回のレビューでは、適度なコーヒーの摂取(欧州食品安全機関の定義では1日あたり3-5杯とされる。(日本では未定義)では、消化管のさまざまな器官に対する有害な影響は認められなかったことを示唆している。特に興味深い2つの分野は、コーヒーと胆石のリスクの低下との関連、およびコーヒーと膵炎のリスクの低下との関連性だというが、さらなる研究が必要だ。
コーヒーは胃腸を通過する際に、おもに次の3つの影響を及ぼす。
(1)コーヒーは胃、胆嚢、膵臓の分泌物に関連しており、すべて食物の消化に必要だ。コーヒーは消化ホルモンであるガストリンの生成を刺激することがわかった。ガストリンは胃液に含まれる塩酸とともに、胃の中の食物を分解するのに役立っている。
また、胆汁の産生を増加させるホルモンであるコレシストキニン(CCK)の分泌を刺激し、消化にも関与している。
(2)コーヒーは腸内細菌叢の組成の変化に関連しているようだ。今回評価された研究では、コーヒーの摂取は、主に胃腸管に遍在しているビフィズス菌の個体群レベルで、腸内細菌叢の組成に変化を引き起こすことがわかった。
(3)コーヒーは大腸の運動性、つまり食物が消化管を通過するプロセスに関連している。コーヒーが穀類と同程度に大腸の運動性を刺激する可能性があるという。また、通常のコーヒーはカフェイン除去コーヒーより23%、水より60%運動性を高め、慢性便秘のリスクの低下に関連している可能性があることが示唆された。
また最新の研究では、肝がんの最も一般的なタイプの1つである肝細胞癌がんを含む肝疾患に対するコーヒーの保護効果を強く支持されている。
一方で、コーヒーが逆流性食道炎に直接影響を及ぼしたとする研究例はほとんどなかった。それよりも、肥満や低質な食生活など他の危険因子の複合または相加効果であろうとのことだ。
出典は『栄養素』。 (論文要旨)
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