2022.1.13
, EurekAlert より: 
推奨されるよりもはるかに高い用量のビタミンDを5年間摂取しても、高齢男女の総死亡率や心血管疾患またはがんの発生率に影響を与えないようだ、という東フィンランド大学からの研究報告。
疫学調査において、体内ビタミンDの低レベルは、多くの慢性疾患や早死のリスクの増加に関連している。けれども、そのような観察研究から、ビタミンDサプリメントの使用が病気や死のリスクを減らすことができるかどうかを直接推測することはできないという。
2010年代初頭には、いくつかの国で大規模なビタミンD試験が開始され、推奨用量よりも高いビタミンDが病気を発症するリスクに及ぼす影響が調査された。2012年から2018年に東フィンランド大学で実施されたフィンランドのビタミンD試験(FIND)もそのひとつである。
FIND試験では、2,495人の参加者(男性60歳以上、女性65歳以上)が、プラセボ群またはビタミンD3の40または80マイクログラム(1600または3200 IU)群のいずれかにランダムに振り分けられ、5年にわたって継続した。すべての参加者は、試験の開始時に心血管疾患とがんがなく、1日あたり最大20マイクログラム(800 IU)(試験時のこの年齢層の推奨摂取量)の独自のビタミンDサプリメントを使用することが許可された。
5年間の試験中に、119人の参加者が心血管疾患を発症し、129人ががんと診断され、19人が死亡した。グループ間のイベント数に統計的に有意な差はなかった。グループ間で副作用の違いが観察されなかったため、この用量のビタミンD3の摂取が安全であることが証明された。
FIND試験の結果は、長年推奨されているよりも高用量のビタミンDを摂取しても、体のビタミンDの状態がすでに十分であれば、心血管疾患やがんを発症するリスクに有意な影響を及ぼさないことを示した、他の同様の研究結果とよく一致するものだという。
著者らは、ビタミンDが不足しがちな場合は、ビタミンDのサプリメントの摂取を勧めるが、ただし本研究から心血管疾患やがんの予防のために大量のビタミンDを摂取ることは支持されない、とコメントしている。
出典は『米国臨床栄養学雑誌』。 (論文要旨)
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