2022.1.4
, EurekAlert より:
海産性オメガ-3系脂肪酸サプリメントの使用はうつ病の予防に役立たないようだ、という米国マサチューセッツ総合病院などからの研究報告。
高リスク患者のうつ病の再発を減らすためにオメガ3サプリメントを推奨する専門家もいるが、一般集団のうつ病を予防するためのこれらのサプリメントの使用に関連するガイドラインは存在しない。またこのトピックに関する研究は、一致しない結果を生み出している。
研究チームは、VITAL-DEP研究の参加者18,353名(50歳以上)を対象に、ランダムに2群に分け、介入群9,171名にはビタミンD3 (2000 IU/d), 海産性オメガ-3系脂肪酸 (EPA465 mgとDHA375 を含む1 g/d 魚油)、対照群9,182名にはプラセボ(偽薬)を平均5.3年間にわたって摂取してもらった。
「この研究は重要な一歩です。成人のうつ病を予防するこの種の研究(私たちは普遍的な予防と呼んでいます)を実施するには何千人もの人々が必要であり、参加者は平均して5-7年間ランダムに割り当てられたサプリを摂取するのです」とVITAL-DEPの主任研究者で論文の筆頭著者であるオリビア・オケレケ准教授は語っている。「したがって、この種の長期ランダム化試験はめったにみられません。」
研究チームは、研究の過程でうつ病を予防したり気分を高めたりするためのオメガ3サプリメントの正味の利点は観察されなかったという。任意の時点で臨床的うつ病を発症するリスクと、フォローアップ期間中の全体的な気分スコアにも同様の注意が払われた。うつ病のリスクのわずかな増加は統計的有意差の範囲内だったが、オケレケ准教授は「約5-7年間の追跡期間中、気分の全体的な経過に対するオメガ3の有害または有益な効果はありませんでした」と述べている。
「一部の人々には、医療提供者の指導の下で、魚油サプリメントを摂取する健康上の理由がまだあります。たとえば、これらのサプリメントは、一部の高リスク患者の既存の抑うつ障害の管理に使用されることに加えて、心臓病の予防と炎症状態の治療に有益であるという知見が増加しています」と主任著者のジョアン・マンソン教授はコメントしている。
「けれども、私たちの調査結果は、一般集団におけるうつ病のない成人が、うつ病を予防するため、または前向きな気分を維持するためだけに魚油サプリメントを摂取する理由がないことを示しています。」
出典は『米国医学会誌(JAMA)』。 (論文要旨)
|
|