2021.12.28
, EurekAlert より:
高強度インターバルトレーニング(HIIT)または中強度連続トレーニング(MICT)のいずれかを組み込んだ有酸素運動介入が、非アルコール性脂肪性肝疾患の改善に効果的であるようだ、という豪州ウェスタンシドニー大学などからの研究報告。
世界で最も蔓延している肝疾患の1つであり、人口の約20-30%に影響を及ぼしている非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、アルコールを過剰に摂取していない人の肝臓に過剰な脂肪が蓄積することを特徴としている。
増加する肥満とメタボリックシンドロームの負荷が、深刻な健康問題としてのNAFLDの増加に寄与しており、また肝硬変と肝臓がんにも潜在的に影響をおよぼしている。効果的な治療法がないため、減量を対象とした生活習慣への介入は、NAFLDの管理のための主要なアプローチであり続けている。
研究チームは、本レビューにおいて、28,000を超える研究をスクリーニングし、745人の成人参加者を含む19の研究を含む一次分析を行った。
HIITとMICTの比較して有酸素運動が肝臓脂肪に及ぼす影響を明らかにした初めてのレビューであり、プロトン磁気共鳴分光法(H-MRS)や磁気共鳴画像法(MRI)などのゴールドスタンダードの非侵襲的測定技術によって肝臓脂肪を評価した研究のみを含む初めてのものだという。
分析の結果、HIITとMICTの両方が、対照群と比較した場合に臨床的に有意な肝脂肪の減少をもたらしたことが示された(HIIT対対照群で-2.85%、MICT対対照群で-3.144%)。
さらに、HIITトレーニング(高強度の有酸素運動と休息期間を交互に繰り返すことを特徴とする)は、MICTトレーニング(従来の有酸素運動トレーニング)と比較して、時間とエネルギーを節約しながら肝臓脂肪を減らすのに同じくらい効果的だったという。
研究チームは、この研究に実際的な推奨事項と臨床診療への含みがあり、NAFLDの軽減に貢献する可能性があると述べている。
筆頭著者でICM健康研究所主任研究員であるアンジェロ・サバグ博士は、定期的な有酸素運動は、HIITであれMICTであれ、重要な管理介入であり、NAFLDは治療せずに放置すると、深刻な合併症を引き起こす可能性があると述べている。
「非アルコール性脂肪性肝疾患は代謝障害の予測因子であり、2型糖尿病などのさまざまな疾患の発症と重症度に密接に関連しています。」
「私たちのレビューは、リスクのある人の効果的な治療法としての定期的な有酸素運動の重要性を示しており、HIITとMICTの両方が肝臓脂肪を同程度に改善することがわかりました。」
「HIITを使って短時間で一生懸命トレーニングすることで、MICTと同じ結果が得られることを知っておくと便利です。これは、忙しいライフスタイルと時間の少ない人に最適です。」
「もう1つの興味深い発見は、推奨される身体活動ガイドラインを満たすのに十分な量の運動をしなくても、適度な強度を超えて定期的に運動している限り、肝臓脂肪の臨床的に有意な改善を達成できることでした」とサバグ博士は述べている。
著者らは、この研究は中程度から高品質のレビューであったが、HIIT介入を含む研究のサンプルサイズは比較的小さかったと述べている。
出典は『臨床内分泌学・代謝雑誌』。 (論文要旨)
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