2021.12.22
, EurekAlert より:
運動が我々の健康を改善するメカニズムのカギとなる酵素を発見した、という豪州モナッシュ大学からの研究報告。2型糖尿病を含む代謝健康に対する加齢の影響を防ぐような新薬の開発につながるものだという。
今後30年間で世界中の60歳以上の人々の割合は2倍に増え、2031年までに600万人以上の豪州人が65歳以上になるだろう。2型糖尿病の発生率は年齢とともに増加するため、この高齢化人口はまた、世界的にこの病気の発生率を増加させることになる。
2型糖尿病の有病率が加齢とともに増加する主な理由の1つは、インスリン抵抗性の発現、つまり身体がインスリンに反応しなくなることだが、それはしばしば加齢に伴う身体活動の低下によって起きる。しかし、身体的不活動がインスリン抵抗性の発現を促進する正確なメカニズムは謎だった。
運動中に生成される骨格筋活性酸素種(ROS)は、運動の健康促進効果に不可欠であると考えられている。
今回研究チームは、NOX4と呼ばれる酵素が運動誘発性ROSと代謝の健康を促進する適応反応に不可欠であることを示した。マウスでは、運動後に骨格筋でNOX4が増加し、これがROSの増加につながることを発見したという。これにより、加齢や食事による肥満で発生するインスリン抵抗性の発現からマウスを保護する適応反応が誘発される。
重要なことは、骨格筋のNOX4のレベルが、加齢に伴うインスリン感受性の低下に直接関係していることが示されたことだという。
「この研究では、動物モデルで、骨格筋のNOX4の存在量が加齢とともに減少し、これがインスリン感受性の低下につながることを示しました」と研究者は述べている。
「NOX4によって調整された適応メカニズムの活性化を薬物で誘発することで、インスリン抵抗性や2型糖尿病の発症など、老化の重要な側面が改善される可能性があります。」
「これらの化合物の1つは、たとえばブロッコリーやカリフラワーなどのアブラナ科の野菜に自然に含まれていますが、アンチエイジング効果に必要な量は、多くの人が喜んで消費する量よりも多い可能性があります」とのことである。
出典は『サイエンスアドバンス』。 (論文要旨)
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