2021.12.21
, EurekAlert より:
環境負荷の低い「持続可能な」食生活が、心血管疾患やがんによる早期死亡のリスクの低下といった健康上の利点にも関連していることが示された。スウェーデン・ルンド大学の大規模調査から。
「私たちの結果は、地球の健康と個人の健康の両方に有益な食事ガイドラインが存在することを示しています」と、ルンド大学の博士課程の学生であり、研究の筆頭著者であるスタッベンドルフ氏は述べている。
EAT-ランセット委員会の報告書は、地球のすでに脆弱になっている環境と乏しい資源が2050年に100億人もの人口を充足できるよう、世界が食料の生産と消費をどう変革しなければならないかを説明している。報告書の中ででは気候への影響、水の使用、生物多様性、リンと窒素の使用、酸性化の6つの分野に言及している。
EAT-Lancet食は、さまざまな食品の毎日の摂取量の目標値を定め、多くの全粒穀物、野菜、果物、種実類、豆類(エンドウ豆、豆類、レンズ豆)を推奨する一方、現在の消費量と比較して肉や砂糖、飽和脂肪は大幅に少なくなっている。
理論上の計算により、報告書ではまた、人間の健康と長寿のための食事療法の利点を推定している。
「まだ十分に評価されていないため、EAT-Lancet食が健康にどのように関連しているかを科学的に調査したかったのです。結果は、食事療法が早期死亡リスクの低下につながる可能性があることを明確に示しています」とスタッベンドルフ氏。
研究者らは、食事と健康との関連を調査するために、22,421人を対象として、各人の食生活とEAT-Lancet食との類似性をポイント化し、ポイントの高さに応じて参加者を5つのグループに分けた。
平均追跡期間は20年間であり、参加者の食事と死亡率との関連を調査し、喫煙、身体活動、BMI、高アルコール消費などの要因により結果を調整した。
すると、EAT-Lancet食との類似性が最も高いグループは、最も低いグループと比較して、早期死亡のリスクが25%低くなっていた。死因別に関連をみると、心血管疾患による死亡のリスクが32%低く、がんによる死亡リスクが24%低いことがわかった。
「多くの人々にとって、EAT-Lancet食に従って食事をすることは、特に西側諸国のより豊かな国に住む人々にとって、大きな変化を伴うでしょう。研究によるとそれは可能ですが、私たちの食生活を変えるには時間がかかります。しかし、公衆衛生と地球の両方に利益をもたらす食事があることを知っていると、私たちのモチベーションが高まるはずです。いずれにせよ、私たち人間は、自身の健康と地球を救うために、何をどのように食べるか、を変える必要があります」とスタッベンドルフ氏は結論付けている。
出典は『米国臨床栄養学雑誌』。 (論文要旨)
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